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立山周辺の湖沼水,温泉水,河川水,池塘の水質分析結果(2018)

資料

立山周辺の湖沼水,温泉水,河川水,池塘の水質分析結果(2018)Water qualities of lake water, river water, hot spring water and small ponds water around Mt. Tateyama (2018)

朴木英治

富山市科学博物館研究報告 (43): 145-147 (2019年7月1日)

抄録

立山一帯で2018年に採取した湖沼水,温泉水,河川水,奥大日岳稜線の池沼および追分周辺の池塘の試料について,それらの化学分析値と水質の特徴を報告した. 室堂平周辺湖沼では,地獄谷に隣接したミクリガ池に比べてミドリガ池の方が地獄谷の噴気の影響を受けていた.血の池は2017年と比べて酸性成分の濃度は低下したがpHの値は2017年と同程度であった.リンドウ池のpHは2.93で2018年も強い酸性を示した. 地獄谷内を流れる紺屋川には強酸性の温泉が流入するため,硫酸イオン濃度は125.3~620.4 mg/L,塩化物イオン濃度は63.3~404.8 mg/L,pHは1.9~2.6で,2018年は,1試料をのぞいて,2017年よりも高い値を示した.称名川の称名滝での水質は前記の地獄谷の温泉の影響を強く受けており,2018年は10月に1回だけ調査を行ったが,硫酸イオン濃度は46.8mg/L,塩化物イオン濃度は16.2mg/Lで,いずれも2017年10月の値と比べて高かった.また,立山カルデラ内の新湯では硫酸イオン,塩化物イオンの濃度は,それぞれ,293.2mg/L,149.7mg/L で紺屋川と同程度であったがpHが3.39と高く,原因として,中和成分のナトリウムイオン濃度が高かった. 餓鬼の田圃(黒部川の上流),奥大日岳の稜線付近の池沼,および,追分の池塘の水質を調べた結果,ほとんどは降水がそのままたまったものと推定された.

引用文献

  1. 朴木英治, 1996. 有峰湖流入河川の水. 常願寺川流域(有峰地域)自然環境調査報告(富山市科学文化センター): 317–328.
  2. 朴木英治, 2015. 称名滝と称名渓谷の水の化学成分濃度,化学組成の変化. 富山市科学博物館研究報告, (39): 61–67.
  3. 朴木英治, 2016. 立山室堂平湖沼群と称名川の水質記録(2015年). 富山市科学博物館研究報告, (40): 151–152.
  4. 朴木英治, 川上智規,2015. 立山室堂平周辺の湖沼の水質. 富山市科学博物館研究報告, (39): 99–100.
  5. 朴木英治・丹保俊哉, 2017. 立山地獄谷の酸性温泉を起源とする化学成分の称名川での動態. 富山市科学博物館研究報告, (41): 31–40.
  6. 朴木英治, 2018. 立山周辺の湖沼水,温泉水,河川水,積雪の水質分析結果 (2016,2017). 富山市科学博物館研究報告, (42): 135–138.
  7. 朴木英治・渡辺幸一, 2019. 立山における酸性雨観測結果 (2018). 富山市科学博物館研究報告, (43): 47-51.
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