植物コラム4

No.62 ヤドリギ (ビャクダン科・旧ヤドリギ科)

2012年12月

稜線沿いのヤドリギ ヤドリギの葉と実 ヤドリギの種子
稜線沿いのヤドリギ ヤドリギの葉と実 果実(右下)をつぶすと粘りけのある
糸を引いて種子(左上)が出てくる

 木々が葉を落とすと、枝に丸い塊が“なっている”のが目立ちます。これが寄生植物として有名なヤドリギ。ヤドリギが高い木の枝にくっつく仕組みは実に巧妙です。甘い果実の中には丈夫な糸と粘着液が仕込まれていて、ヒレンジャクやキレンジャクなどの鳥に食べられて糞として排出される際、おしりからたら~りと垂れ下がります。鳥が移動する時に、枝に引っかかってぶら下がれればしめたもの。あとは強風に吹かれてくるりと枝に巻きついて種植え完了というわけです。その後、短期間で根を枝に食い込ませていきます。

(藤彦・太田)

レポート:2012年5月12日の野外観察会で見られた主な植物

 場所:富山県砺波市「頼成の森」  標高は60m~120m
 ハナショウブで有名な県民公園「頼成の森」に整備されている散策路を大きく回り、スギ植林やコナラ林等、低山帯の植生とそこに生きる植物をたくさん観察しました。花ものとしてはケナシヤブデマリ、ホオノキ、ミヤマガマズミ、マムシグサ、ハナニガナなどがありました。吹上さんの説明により、斜面のスギ切株について、上側を「ひっぱりあて材」、下側を「圧縮あて材」と呼ぶことを学びました。また、強風の通り道となった谷沿いのスギが一方向に向かって倒れている様子も見応えがありました。後半、おきまりのカモシカにも出会いました。

(太田)

No.61 クズ (マメ科)

2012年 8月

クズの花 河原や荒れ地に生え、夏に花を咲かせる多年草です。根に根粒を持ち、空中の窒素からアミノ酸を合成できるので栄養の少ないところでも旺盛に生長していきます。  アメリカでは外来植物となって大繁殖したり、ゴビ砂漠では緑化に使われたりしています。夏になると甘い香りのする花を咲かせ、太い根からはデンプンが主成分のクズ粉がとれます。夏はきりっと冷やした「くずきり」がおいしいですよね。  写真:加藤 治好さん   

(藤彦)

No.59 カキドオシの両性花(左)と雌性花(右) (シソ科)

2012年12月

カキドオシ1 カキドオシ2
両性花 雌性花

 道端や草原に生える多年草で、匍匐枝(ほふくし:地表をはっている茎)が垣根の下を通って伸びていくことからこの名前がつきました。4月から5月に匍匐枝が起き上がり、花が咲きます。花の後、匍匐枝は倒れ伸びていきます。花には両性花と雌性花があり、両性花ではおしべの葯が白く開くのに対して、雌性花ではおしべの葯が未熟で開かず黄褐色をしています。また、両性花に比べて雌性花は小さいので、割と簡単に見分けられます。

(三浦)

No.58 メハジキ (シソ科)

2011年 8月

メハジキ 道端や荒れ地にはえ、秋に紅紫色の花を咲かせる二年草(越年草)です。芽を出した年に花を咲かせて枯れてしまう一年草とは異なり、二年草は若い苗のまま冬を越し、次の年に花をつけて枯れます。 メハジキの種子は、地上に落ちるとすぐに芽をだすので、花の咲いている株の周りには、当年生まれの若い苗があるはずです。
魚津市鹿熊 2009年9月17日撮影

(三浦)

No.57 キンキマメザクラ (バラ科)

2011年 4月

キンキマメザクラ 里山に春の訪れを告げるかのように早く咲くサクラです。樹高は3m程度で花も小さいのが「マメ」の由来。関西地方に分布の中心があり、日本海側の分布の東限が富山県です。 花は普通2個ずつつき、萼筒はすっと細長く無毛。花柄にはまばらに毛が生えているかほとんど無毛。葉は小柄で先端が尖り、縁には重鋸歯があります。萼筒に毛が生えている個体も多くあって、それらにはカスミザクラの性質が入っているのではないかと考えられます。
猿倉山 2010年4月8日撮影

(太田)

No.55 ミズゴケいっぱい

2010年 8月

池塘のミズゴケ 立山弥陀ヶ原から天狗平には湿性草原が広がり、数多くの池塘がみられます。池塘の土手には、ミズゴケが生えていることもあります。一帯のミズゴケの種類を調べてみたら、なんと予想よりずっと多い14種類も! ちなみに、日本のミズゴケは50種類弱。 種類ごとに、好みの水分条件が少しずつ異なっているようにも見えますが、野外で種類を言い当てるのは、まだまだ難しいです。(コケは顕微鏡を使って調べます)

(坂井)

No.54 レンプクソウ (レンプクソウ科)

2010年 4月

レンプクソウ 5つの小さな花たちが押しくらまんじゅう。こんなけったいな恰好をした花も、そうないだろう。一本の茎の先についた黄緑色の金平糖みたいなかたまりは、真上を向いて咲いた花が1つと、横向いて咲いた花4つが背中合わせに集まったものだ。 最近の系統分類では、レンプクソウ科はミズキ科に近いことが分かった。ん~、そういえば、花の集まり方はヤマボウシやゴゼンタチバナ(ミズキ科)の実と似てなくもないな~。
北海道網走郡美幌町

(太田)

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