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富山県の隕石関係資料

富山県に落下した隕石とそれに関係する資料を紹介します。


(1) 白萩隕鉄第1号(東京都台東区国立科学博物館)

 明治23年(1890)4月に小林一生氏により発見が発表された隕石である。それより前(恐らく前年以前)、中新川郡白萩村・稲の上市川上流で道林松之助氏が葛芋掘りに上流の山中に行き、その帰り路で、川の中で色の変わったU字型に曲がった重い石を拾った。これが白萩隕鉄である。重さは23kgもあった。その後、当時の知識人であり、村人から信任の厚かった道林八郎右衛門氏の手にわたり、その後小林一生氏の手に渡り、発表された。詳しい採集場所は不明であるが、現在の上市川ダムの上流で、千石よりもさらに上流と思われる。
 小林氏は大阪造幣局に鑑定を出したが、その時は鉄の固まりとして却下された。明治28年農商務省地質調査所で鑑定され、八面体結晶のウィッドマン・ステッテン模様が見られることから隕鉄と確認された。明治28年3月、榎本武揚子爵が購入し、明治31年、一貫余り(4kg程度)の隕鉄から流星刀が作られ、12月に皇太子に献上された。隕鉄は明治42年に榎本武憲氏により、国立科学博物館に寄贈され、現在に至る。

  参考文献:倉谷寛「白萩隕鉄始末」、星の手帖No.9、1980年

(2) 白萩隕鉄第2号(富山市)

 明治25年(1892)8月上旬、上市町の上市川上流、千石川のキルリ谷付近で隕鉄が発見され、早乙女隕鉄と名づけられた。当時、岩井武次郎氏を頭に5人の人たちが燃料用の薪の用材を運び出すため、千石部落から11km上流のキルリ(切理)谷で木の切り出しを行なっていた。当時は谷を塞き止めて、水をため、そこに切り出した用材を集め、集まった時点で、堰を切り、一挙に下流に用材を流す「鉄砲」という手法を取っていた。その鉄砲流しをし終えた後、その堰の中に藤木松太郎氏が黒い石を見つけた。それが早乙女隕鉄であった。
 しばらく、庄屋の岩井氏の家に保管されていたが、明治43年の末頃、地質調査所で隕鉄と鑑定された。藤木氏はその後栃木県に移られ、姓も山田氏に変わったので、隕鉄は行方不明になった。その後、倉谷寛氏他の努力で山田氏のもとに隕石があることが確認され、富山市科学文化センターの開館にあわせて、隕鉄は二分され、半分は富山市天文台で展示されている。
 なお、早乙女隕鉄は国立科学博物館で調査された結果、宇宙空間では白萩隕鉄と同一の物体であることが確認されたので、白萩隕鉄は白萩隕鉄第1号、早乙女隕鉄は白萩隕鉄第2号と称されるようになった。

  参考文献:倉谷寛「白萩隕鉄始末」、星の手帖No.9、1980年

(3) 白萩隕鉄の碑(富山県上市町)

 白萩隕鉄第1号が発見された千石部落はその後ダムが建設され、水没することになった。そこで、隕石落下を後世に残すため、昭和56年10月に千石神社に記念碑が建てられた。
銘版の内容は以下の通りである。

白萩隕鉄について
明治二十三年(1890)旧白萩村地内において発見された隕鉄は、重さ22.2キロ、形はU字形であった。のちに白萩一号と命名され、この一部で流星刀を製作し、国立科学博物館に所蔵され、残りは現在、同館に保存されている。
さらに明治二十五年、千石より十一キロ上流のキルリ谷において、ころ流し作業中の人たちが発見した隕鉄がある。この重さは10.9キロで、白萩二号別名、早乙女隕鉄と命名し、現在、この隕鉄は二分され、一つは民間の所有となり、他の一部は富山市科学文化センターに保管されている。
隕鉄の調査については、昭和三十八年より上市町教育委員会・富山県天文学会が行なってきたものである。隕鉄落下ゆかりの地に記念碑を建てて後世に伝えるものである。

昭和五十六年十月
上市町教育委員会
富山県天文学会


(4) 流星刀(富山市)

 白萩隕鉄第1号より作られた短刀。白萩隕鉄第1号は明治28年(1895)に農商務省地質調査所で分析され、隕鉄と確認された。当時、農商務大臣の榎本武揚がこれを知り、購入した。その後、刀工の岡吉国宗に依頼、長刀2振、短刀3振、合計5振の刀を製作し、長刀1振を時の皇太子(後の大正天皇)に献上した。
 長刀1振は東京農業大学が所蔵しており、そのレプリカが世田谷キャンパスの農大アカデミアセンター1階の「実学の杜」に展示されている。もう一つの長刀の所蔵場所は未確認である。
 短刀1振は行方不明になり、現在、長刀2振、短刀2振が現存している。これらは流星刀と名づけられている。
 これはその内の一つの短刀で、刃長19.9cm、全長29.7cm。年2回ほど富山市天文台で公開している。(2015年9月19日、長刀に関して変更しました。)



富山市科学博物館:富山市天文台
作成 2007-04-23
最終更新 2015-09-19
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