外国から来た毒グモ
セアカゴケグモ
セアカゴケグモとはどんなクモ?
今年の11月、日本じゅうが毒グモでおおさわぎになりました
大阪府高石市内で、日本には生息していなかった毒グモが発見されたのです。それはセアカゴケグモという名のクモで、体全体が黒く腹部中央に赤色の太い帯の様な模様があります。ゴケグモというのは、交尾ののちメスがオスを食べてしまい、メスしか残らないので”後家(ゴケ)”グモと付けられたのだそうです。
インド、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、ニュージーランドと熱帯・亜熱帯に広く分布し、日本でも約40年以前、沖縄県の石垣島と西表島で記録されたことがありますが、現在生息は確認されていません。
メスの体の大きさは、8〜10mm、オスは4〜5mmで、メスの体全身ほとんど真っ黒、球形の腹部の背中側中央に赤色の帯状の紋が目立ちます。オスの腹部は細長く黒もしくは濃い褐色で、白色の紋が見られます。
巣は不規則なアミ状で、石の間やくぼみ、側溝、建物の隅などに作られます。
どこにいる?
現在、セアカゴケグモが確認されているのは、大阪府堺市以南の海岸沿いの市町村、三重県四日市市、沖縄県那覇市、同宮古島です。これらの場所は海外貿易の盛んな港の周辺であり、セアカゴケグモの生息地から船の積み荷に紛れ込んで入ってきたものと考えられています。
富山県では、今のところ見つかってはいませんし、富山のような冬寒いところでは冬を越せないだろうと考えられています。しかし、最近は暖房が行き届いていますし、屋外でも、清涼飲料水の自動販売機のように年中放熱ている機器も多数有りますので、簡単に安心はできないと思われます。
毒性は?
かまれて危険なのはメスであり、オスには毒は無いかあってもごく弱く危険は無いようです。セアカゴケグモの毒は、神経系を犯す毒で、症状は人により様々であるが、一般に、かまれると針で刺されたような痛みがあり、ゆっくりと痛みは全身に広がり強くなり、汗がでる、血圧があがる、しびれる、呼吸困難などの症状があり、多くの場合は数日から数カ月で回復するが、時に死に至ることがあるとのことです。
オーストラリアなどではかまれた被害の報告も多く、数%から10%程度の死亡率が報告されています。オーストラリアなどでは、治療用の血清が準備されています。大阪府でもオーストラリアから血清を取り寄せて準備をしています。
対策は?
かまれると危険性のあるクモですが、攻撃性は無いので、素手で触らなければ危険はありません。また、まだ富山では発見されてはいません。しかし、絶対に入ってこないとは言い切れません。セアカゴケグモは、小さいですが特徴のはっきりしたクモですので、見ればすぐ判ると思います。日頃から近辺のクモに注意しておきましょう。あやしいクモがいたならば、すぐに保健所に連絡しましょう。触らなければ危険はないとはいえ、外来の人為分布のクモであり、死亡例もあるクモですから、できるだけ早く退治しておく必要があるでしょう。
(根来 尚)
追記
大阪府下海岸沿いの市町村に広く、また三重県四日市、沖縄県でも発見されている。