ホタル
富山市内からは、2種のホタル、ゲンジボタルとヘイケボタルの生息が知られているが、かつてはともかく、現在では普通にいるというものではない。特にゲンジボタルはほんの2,3ヶ所で1,2個体を見たという情報が有ったにすぎなかった。ヘイケボタルはかつて程ではないにしろ、富山市内でも各所で見られる所が有るようであり、市街地近くの川べりでも見られる所がある。
今回、ゲンジが多く見られた上今町は、大沢野町との界に近く、熊野川ぞいである。熊野川ぞいに流れる用水およびその分流を流す小用水で見られた。同所からはヘイケも見られたが、こちらは水田とそのまわりの小用水、また、熊野川河川敷内の小流でみられた。
市民調査の結果報告の後、同所の他に、熊野川ぞいの安養寺や土川ぞい赤田からもゲンジが見られるという情報がえられた。富山市内にはゲンジの生息地は無いのではないかと思われていただけに、たいへんよろこばしいことである。
ゲンジボタルとヘイケボタルの違いは以下の表のとおりである。
ゲンジボタルとヘイケボタルのちがい
ゲンジボタル ヘイケボタル
胸のもよう 黒いすじが細く 黒いすじが太く
真ん中がふくらむ 真ん中が細くなる
大きさ 15−20mm 7−10mm
光 強い 弱い
同時明滅2秒間隔 細かく光る
出現時期 5月下旬−6月下旬 6月下旬−8月上旬
幼虫の きれいな流水 ゆるやかな流水や
住み場所 止水
幼虫の カワニナ ヒメモノアラガイ
たべもの カワニナ
ゲンジボタルのほうが、ヘイケボタルより、良い環境を必要とするので当然生息地も少なく、人里付近の良い水環境のシンボル・指標とされることが多い。
一時は、急性毒性のたいへん強い農薬を用いたり、用水の3面コンクリート化が急速に進んだりといったことで、急速に見られなくなっていったホタルだが、最近、ところよっては、昔ほどではないものの増えてきたようだという声もきこえてくる。もちろん、その一方でホタルの見られる範囲が狭くなってきたという声も、用水のコンクリート化でホタルが出なくなったという声もあるので、一律に、最近ホタルがふえてきているようだとはいい難い。
だが、水質のいっそうの改善、用水環境の自然化、年間通水などを行えば、今後にいっそうの期待がもたれる。