トビケラ        

 川底の石ころを持ち上げて見ると、まず目につくのが2〜3cmほどの黒っぽいウジムシのようなトビケラの幼虫です。川釣りをする人たちは、「カワムシ」とか「イサゴムシ」等と呼んでいるようです。いたち川の上流部のみでトビケラ幼虫(ヤマナカナガレトビケラ、ヒゲナガカワトビケラ、コガタシマトビケラ、ウルマーシマトビケラ)が採れました。そのうち最も大型なのがヒゲナガカワトビケラで、石ころの間やくぼみに口から吐く糸で小石や砂をつづり合わせて巣室を作り、その前に網を張ります。その網にかかる藻類をエサにしています。こういう網を張るトビケラの存否は、土石の流出が無い、水流が安定しているなど川底の安定の目安となります。トビケラ類は、完全変態で蛹の時期が有ります。その時はしっかり巣を作りその中で変態します。成虫は蛾の様なハネの大きな虫で川辺の草や木に止まっているのを見かけます。       (1987年いたち川調査より)


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