富山市科学文化センター 研究報告 第17号(1994年)

要約編

目 次

原著

生物系

布村 昇 :紀伊半島田辺湾産穿孔性コツブムシ科(等脚目,甲殻類)の一新種

布村 昇 :琉球列島石垣島から発見されたキバウオノエの一新種

中村光一郎:富山湾から採集されたウミグモ類

平内 好子,大西 純:富山県のササラダニ相

根来 尚 :富山県のアリ類

二橋 亮,二橋 征史,北山 拓:富山県のトンボ

佐藤 卓 :ハイマツ Pinus pumila (Pallas) Regel の葉の解剖学的性質の地理的変異

短報・資料

後藤 道治:中部日本、富山県の来馬層群からSeirocrinus(ジュラ紀前期のウミユリ類)の発見

西川輝昭,布村 昇:富山市科学文化センター収蔵の富山湾産ホヤ類およびタリア類

西川輝昭,布村 昇:富山市科学文化センター収蔵の能登半島富山湾沿岸産のホシムシ類

伊澤 邦彦:富山湾産魚類の寄生性カイアシ類3種について

井上 巌 :富山市科学文化センター所蔵のハリガネムシの調査結果

南部 久男:富山市におけるホクリクサンショウウオの産卵状況,卵数及び卵嚢の形態

朴木 英治・南部 久男:富山市におけるホクリクサンショウウオの産卵場所の水質(2)

太田 道人:富山県新記録の植物[

石坂 雅昭:富山市の平地積雪断面測定資料報告 1992ー1993年冬

朴木 英治:富山市内における降下物量の分布観測結果U

布村 克志渡辺 誠:パソコンを使用した展示用ソフト

紀伊半島田辺湾産穿孔性のコツブムシ科等脚目(甲殻類)の一新種

                 布村 昇

富山市科学文化センター

 紀伊半島田辺湾の岩石中に穿孔している等脚目を研究し、新種であることが判明し、Sphaeroma wadai(和名:イワホリコツブムシ)として記載した。本種はSphaeroma retololaevis Richardson と最も類似するが、(1)尾節板後縁が短く尖っていること、(2)第1小顎外葉の剛毛の数が少ないこと、(3)第1触角の鞭の数が少ないこと、(4)顎脚の形態等で区別される。

 また、北米フロリダ から知られている Sphaeroma quadridentatum とも類似するが(1)背板に突起のあること(2)第1−3胸脚と第4−7胸脚の形態が違うこと、等によって区別される。模式標本は富山市科学文化センターに保管される。

琉球列島石垣島から発見されたニセキバウオノエの一新種

       布村 昇

富山市科学文化センター

沖縄八重山諸島石垣島で採集された等脚目甲殻類の一種を研究し、ニセウオノエ属の新種、Exocorollana yaeyamanaとして記載した。本種は鹿児島県甑島から知られているExocorollana yamamuroaeと最も類似するが(1)第5腹節が両側に達すること、(2)腹尾節後縁が丸いこと、(3)胸脚腕節内縁に突起の無いこと、(4)両触角の節が少ないこと、(5)顎脚ヒゲに剛毛が発達することなどによって区別される。なお、模式標本は富山市科学文化センター(TOYA-Cr 12332) に保管される.

富山湾から採集されたウミグモ類

中村 光一郎

日本女子体育大学

 富山湾で採集されたウミグモ類について報告する。同定の結果は下記の3科5属7種であった。このうち、Anoplodactylus carnatus は従来本州南岸(相模湾、駿河湾)でのみ発見された種であり、Nymphon uniunguiculataはシベリア沿岸、北海道西岸および韓国東岸から報告されていた種である。

Family Ammotheidae イソウミグモ科

Achelia bituberculata Hedgpeth, 1949 フタイボイソウミグモ

Achelia echinata sinensis (Lou, 1936) トゲイソウミグモ

Ammothea hilgendorfi (B hm, 1879) シマウミグモ

Family Phoxichilidiidae ソコウミグモ科

Anoplodactylus carnatus Nakamura & Child, 1983 カルナツスチビウミグモ

Phoxichilidium ungellatum Hedgpeth, 194  ホソウミグモ

Family Nymphonidae ユメムシ科

Nymphon striatum Losina-Losinsky, 1929 ツノユメムシ

Nymphon uniunguiculata Losina-Losinsky, 1933 ヒトツツメユメムシ

富山県のササラダニ相

平内好子 大西 純

富山県立泊高等学校      富山刑務所

本邦から記録されたササラダニ類は, 現在550種に達している。 しかし,富山県におけるササラダニ類の公式記録は従来全く報告がなく,本県は空白地域であった。平内は,1989年から県下の植生の異なる平地から高山にかけてササラダニ類等の土壌動物の調査を行い,資料の収集に努めた。収集整理したササラダニ標本は,大西とともに同定し,その結果,本県におけるササラダニ相の概要がつかめたので報告する。今回の報告で種名まで明らかになった54科107種のササラダニ類すべてが本県における初記録である。 なお, 本報告の標本は富山市科学文化センターに所属する。

 特記すべき種として次の3種が上げられる。

a.オオニオウダニ Hermannia convexa (C.L.Koch,1839)

本種は,海外ではヒマラヤ,欧州に分布し,国内では北海道の高地や海岸付近の数カ所で採取されている。今回の調査では亜高山帯の赤木沢から採取された。寒冷地に適応した種と考えられる。北海道以外からは新記録である。

b.フジニオウダニ Hermannia areolata (Aoki,1970)

本種は,1970年, 富士山の富士風穴近くを模式産地として記載された種である。 1983年に山口県から報告され, 今回が日本における3番目の記録となった。高地性のものと考えられていたが, 山口県では標高280mの岩山から, 本県では南保富士(標高727m), 有峰(標高1220m), 滝見台(標高1270m)から採集されており,適応性は広いようである。

c.エチゴマルトゲダニ Ceratotenuiala echigoensis Aoki et Maruyama,1983

本種は,新潟県黒姫山のブナ林を模式産地とし, 新属新種として記載された種である。 これまで新潟県からしか見つかっておらず, 本県白木峰が二番目の産地となった。 本州中部の日本海側に特徴的な種かもしれない。

富山県のアリ類

根来 尚

富山市科学文化センター

 富山県のアリは、従来23種が記録されているにすぎない。これは、アリ類の分類学的研究が他のグループに比べ遅れていたことと、同定が困難であったことによるものと思われる。

 筆者が数年来集めてきたアリ標本と、多くの方から寄贈されたアリ標本を併せて調べた結果、60種を越える種が富山県内より確認できた。本格的に調査を行った訳でもなく、巣の調査も行ってはおらず、働きアリを拾い集めた程度であってまことに不充分であり、まだまだ追加すべき種は存在すると思われるが、一応のとりまとめをしておきたい。

 上記のごとく4亜科30属62種(ハリアリ亜科6属8種、フタフシアリ亜科16属26種、カタアリ亜科3属3種、ヤマアリ亜科5属25種)が富山県から記録された。それらのうち、39種が富山県から新たに記録されるものである。

 岐阜県、福井県の記録からみると、富山県からもエゾクシケアリ、ケブカクロオオアリ、ツヤクロヤマアリ、サクラアリ、サムライアリなどまだ10種以上のアリ類が追加されるものと思われる。

 海岸の砂浜では、砂地に特有なカワラケアリがみられ、この種は河原の砂地にも生息するものでおそらく黒部川や庄川の河原においても生息している可能性が大きい。

海岸や河原も含めた平地では、オオハリアリ、アズマオオズアリ、トビイロシワアリ、アミメアリ、アメイロアリ、トビイロケアリ、クロヤマアリ、クロオオアリなどがよくみられるアリである。テラニシハリアリ、ヒメアリ類、トフシアリ、コツノアリ、ルリアリなどは南方系の種であり、採集地はまだ少ないが、おそらく平地から丘陵地に限られ山地では見られないであろう。

丘陵地では、ニセハリアリ、メクラハリアリ、キタウロコアリ、ヤマトアシナガアリ、アズマオオヅアリ、ムネボソアリ、トビイロシワアリ、テラニシシリアゲアリ、アメイロアリ、トビイロケアリ、クサアリモドキ、クロヤマアリ、ハヤシクロヤマアリ、クロオオアリ、ムネアカオオアリ、トゲアリなどがみられ、これらの種は平地から山地まで広く見られるものが多い。

山地では、ヒメハリアリ、シワクシケアリ、アシナガアリ、チャイロムネボソアリ、アメイロアリ、ハヤシケアリ、トビイロケアリ、ヒゲナガケアリ、アカヤマアリ、エゾアカヤマアリ、クロヤマアリ、ヤマクロヤマアリ、ハヤシクロヤマアリ、クロオオアリ、ムネアカオオアリなどがみられ、クシケアリ類、アカヤマアリ類、ヤマクロヤマアリなど北方系の種が現れる。

亜高山・高山では、シワクシケアリ、クロキクシケアリ、タカネムネボソアリ、トビイロケアリ、アカヤマアリ、タカネクロヤマアリ、ヤマクロヤマアリ、カラフトクロオオアリがみられ、特にタカネクロヤマアリは高山域でのみみられる。クロキクシケアリはほぼ標高2000m以上でみられる。シワクシケアリ、トビイロケアリ、ヤマクロヤマアリは高山帯ではみられず、アカヤマアリは標高2000m以上では見られない。

富山県のトンボ

二橋 亮         二橋征史          北山 拓

  大門中学校3年      新潟産業大学1年     小杉町立金山小学校4年

1)1981年以降(特に1992〜93年)に富山県下各地で採集したトンボ類11科72種の採集記録を報告した(従来独立の科として扱われてきたヤマトンボ科は、近年エゾトンボ科に含めて扱われることが多くなったので、本報告でもそれに従った)。それらの中には、過去の記録が乏しいために県下における最近の生息分布状況が不明であった種が多く含まれている。また、多くの種について多数の新産地を追加記録した。本報告によって、県下のトンボ類の現在の生息分布状況がかなり明らかになったといえる。各種について、簡単に現在の生息状況を記した。県下から記録はあるものの、次の7種は今回の調査でも確認できなかった(カッコ内は県下で最後に採集された年):オツネントンボ(1952)、ホンサナエ(1972)、キイロサナエ(1974)、オナガサナエ(1959)、オジロサナエ(1976)、カトリヤンマ(1975)、ハネビロエゾトンボ(1972)。なお、アオサナエは1988年に子撫川で2個体が採集されたが、それ以後再三の調査にもかかわらず再発見できなかった。その記録は既に発表済みである(根来・二橋、1988;二橋・根来、1992b )ので、本報告には含めなかった。

2)特に重点的に調査を行った5ヶ所のうち、別途報告予定の新湊市越の潟埋立地(鈴木・二橋・根来、準備中)を除く次の4ヶ所のトンボ群集について若干の考察を加えた:1。県西部の子撫川流域、2。氷見市乱橋池とその周辺、3。大門町鴨川・親司川流域、4。県中西部の射水丘陵。

3)富山県のトンボ相について今後より詳しい調査を行っていく上での基礎資料として、従来の記録と本報告の記録に基づき、富山県産トンボ類全80種の発生消長表を作成した(表1)。また、市町村別のトンボ類の記録表を1990以降、1980〜89年、1979年以前の別が分かるように作成した(表2)。これらにより、県下のトンボ類の生息分布状況調査の進捗状態をも概観できよう。

4)本報告で記録した標本類は、全種を富山市科学文化センターに寄贈した他、一部を富山大学理学部生物学教室と高知県中村市四万十トンボ自然館にそれぞれ寄贈した。

ハイマツ Pinus pumila (Pallas) Regel の葉の解剖学的性質の地理的変異

佐藤 卓

富山県立雄峰高校

 ハイマツの資料から得られた葉形タイプは9種類観察され、集団ごとの葉形タイプの出現頻度分布から、これらは、シベリアタイプ、北海道タイプ、本州タイプの3タイプに分けられることが示唆された。これらの3タイプに区別する形質は、生育地の緯度と相関が見られたので、気象データと関連させて考察した。

シベリアタイプは針葉中央の鋸歯密度が小さく、樹脂道の数が2〜3個、背軸側の樹脂道間の距離は内皮鞘直径よりかなり大きく、樹脂道の直径が大きいタイプである。樹脂道の発達は、機械的な破壊に対する適応現象と考えられる。また、鋸歯数と気孔数が少ないのは、シベリアの乾燥した冬季の気候(低温少雨の亜寒帯気候、バイカル湖近くのイルクーツクの2月の平均降水量は8mm)に対する適応現象と推定された。

北海道タイプは針葉中央の鋸歯密度が長さ5mmあたり1〜4個あり、樹脂道の数が2〜3個、背軸側の樹脂道間の距離が内皮鞘直径より大きく、樹脂道の直径が小さいタイプである。このタイプに見られる樹脂道の発達状態は、シベリア産と本州産の中間と考えられる。これは北海道の気候がシベリアと本州高山との中間的な性質(冬季は低温だが月平均50mm以上の降水量がある)を持つことと関係していると推定された。

本州タイプは針葉中央の鋸歯密度が長さ5mmあたり1〜4個あり、樹脂道の数が0〜2個、背軸側の樹脂道間の距離が内皮鞘直径とほぼ同じで、樹脂道の直径が小さいタイプである。このタイプに見られる樹脂道の数と大きさはシベリアタイプと北海道タイプに比べて小さいことから、機械的な破壊が生じる機会が少ない環境(冬季の月平均降水量が100mmを越すので、積雪により保護される)に対する適応現象と考えられた。

 

短報 中部日本富山県の来馬層群からSeirocrinus

(ジュラ紀前期のウミユリ類)の発見

後藤道治

富山市科学文化センター

 富山県下新川郡朝日町大平川上流に分布する来馬層群(約1億9000万年前)の砂岩・泥岩の中から、中生代ジュラ紀前期のウミユリ類であるSeirocrinus属の一種が見つかった。

 この種類は世界的にも分布範囲が広く、ヨーロッパから西アジア、東南アジア、アラスカからの発見の報告があるが、日本では今回が初めての報告となる。

 この発見は、当時の古海流の検証やSeirocrinus属の古生態の解明などに大いに役立つものと思われる。

短報 富山市科学文化センター収蔵の富山湾産ホヤ類およびタリア類

  西川輝昭           布村 昇

名古屋大学       富山市科学文化センター

 富山湾沿岸で布村が収集,整理した富山市科学文化センター所蔵のホヤ類およびタリア類標本について西川が同定したので報告する。

 ホヤ類約10種のうち,Cnemidocarpa fertilis minor Tokiokaは富山湾初記録である。なお,タリア類はただ1種しか含まれていないが,富山湾には,まだ他に多くの種類が生息していると思われる。

短報 富山市科学文化センター収蔵の能登半島富山湾沿岸産のホシムシ類

  西川輝昭           布村 昇

名古屋大学       富山市科学文化センター

 富山湾のホシムシ類については従来まとまった報告が無かった。この度,能登半島の富山湾沿岸で布村が収集,整理した富山市科学文化センター所蔵のホシムシ標本を,西川が同定したので報告する。ここでは,スジホシムシモドキ、フクロホシムシ、サメハダホシムシ、ヤマトサメハダホシムシ 、タテホシムシ の5種を報告した。

短報 富山湾産魚類の寄生性カイアシ類3種について

伊澤邦彦

三重大学生物資源学部資源生物学教室

 富山市科学文化センター所蔵の富山湾産魚類の寄生性カイアシ類3種、Echithogaleus coleoptaratusAnthosoma crassumClavella aduncaを報告する。日本海の寄生性カイアシ類に関する記録は,本邦太平洋岸と比べて少ない。

短報 富山市科学文化センター所蔵のハリガネムシの調査結果

井上 巌

東京都日の出町

 富山市科学文化センター所蔵のハリガネムシ(類線形類Nematomorpha,Gordiacea)を調査した.その結果、Chordodes fukujiとGordius属のものを確認した。特にGordius属の場合はデリケートなものが多く,今回は属名までの同定にとどめた.

資料 富山市におけるホクリクサンショウウオの産卵状況,

卵数及び卵嚢の形態

南部久男

富山市科学文化センター

 富山市西部の丘陵で、1981年から1983年及び1992年から1993年にかけ、ホクリクサンショウウオの生息調査を行い、次の点が明らかになった。

1)産卵を確認した13調査地点のうち、3地点は産卵場所及びその周辺地域が消失し、1地点 は林の伐採等が進行中であり、1地点は産卵場所が消失した。

2)産卵は、谷の湿地等で2月下旬から3月に行われる。1産卵場所当たりの最大確認卵嚢数 は26対であった。

3)卵嚢は大部分が外からは見えず、直径1-15mmの枯れ枝等に産みつけられる場合が多く、 卵嚢付着点の水深は、0〜20cmの場合が多い。

4)卵嚢は、透明で卵が透視でき、2.0回巻くものが多く、卵嚢の長さと幅の平均は、st.11 で、119mmと14mm、st.35で193mmと16mmであった。

5)10産卵場所の一腹卵数の平均は85個で、最小は40個、最大は149個であった。

また、1卵嚢中の卵数の平均は、42.3個で、最小は14個、最大は80個であった。

6)10産卵場所の総卵数に占める死卵の割合は、2.1%であった。

短報 富山市におけるホクリクサンショウウオ産卵場所の水質(2)

朴木英治・南部久男

富山市科学文化センター

 富山市で発見されたホクリクサンショウウオ産卵場所の水質について報告した。

調査場所は富山市三の熊地内の室住池上部の谷、及び野田池周辺である。この2地点の産卵場所は、現在は消失している。

この調査地点の水の水質的特徴はpHが弱酸性で、一部の成分しか測定してないが、その化学成分組成は降水の組成に近いように思われる。

また、このデータ、前報、および、呉羽山調査でのサンショウウオ生息場所での水質データを総合するとホクリクサンショウウオの産卵場所の水質は、弱酸性で降水組成を残している点が共通点として見いだされる。

これが単なる偶然なのか、このような水質を好むのかについては、別の地域の個体の生息場所の水質を調べる必要がある。

短報 富山県新記録の植物[

太田道人

富山市科学文化センター

富山県で初記録の7種の植物を記録した。標本は、富山市科学文化センターに収蔵されている。

ハネガヤ (イネ科)

Achnatherum extreminorientale (Hara) Keng

富山県高岡市頭川川 alt.100m

キダチノネズミガヤ (イネ科)

 Muhlenbergia ramosa (Hack.) Makino

富山県高岡市頭川川 alt.40m

セイタカヨシ (イネ科)

 Phragmites karka (Retz.) Trin.

 富山県富山市百塚 神通川左岸河川敷alt.5m

ヤマミゾイチゴツナギ     (イネ科)

 Poa hisauchii Honda

 富山県宇奈月町鐘釣付近 他

マルバヌスビトハギ   (マメ科)

 Desmodium podocarpum DC.

富山県高岡市手洗野 alt.40m

ヤマウグイスカグラ (スイカズラ科)

Lonicera gracilipes Miq.

富山県大沢野町御前山

ツリガネツツジ   (ツツジ科)

Menziesia cilicalyx (Miq.) Maxim.

 富山県小矢部市平山 alt.120m

 

短報 富山市の平地積雪断面測資料報告 1992-1993年冬

石坂雅昭

富山市科学文化センター

 12月から翌年3月の冬季間、5のつく日及びその近日を中心に、城南公園で行っている積雪断面の観測結果を報告した。

資料 富山市内における降下物量の分布観測結果U

朴木英治

富山市科学文化センター

 1990年4月から1991年3月にかけて行った富山市内4カ所の観測点(月岡地区センター、科学文化センター、萩浦地区センター、浜黒崎地区センター)での降下物観測データを報告した。

この年の特異的な現象としては台風19号によって降水を伴う強い北風が吹き富山湾から内陸に大量に塩分が輸送された。

また、降水の酸性度は科学文化センターでpHが4.64とそれ以前の調査に比べて低めであったが、酸性雨の原因物質の一つである非還元性硫酸イオンの沈着量はこれまでの中で最も少なかった。

また、4カ所の観測点の冬期のex.硫酸イオンの沈着量を比べると工場から最も離れた月岡での沈着量を100とすると、工場地帯の萩浦では170とその差が多かった。

(前年度の沈着量の比較では、月岡を100とした場合最も多かった科学文化センターで130程度で差は少なかった)

資料 パソコンを使用した展示用ソフト

布村克志・渡辺 誠

富山市科学文化センター

 博物館の展示において、観覧者が見るだけでなく、能動的に参加し、自ら学習できる展示物が望まれている。そこで、展示物として、スペースを余りとらず、情報ツールとして優れたパソコンを導入し参加性の高い、自分で学習できる機能を有すること等を目標とした、マルチメディア型展示用パソコンソフトを自主制作した。

 マッキントッシュパソコンを使用して、「スペースシャトル」、「太陽系への旅」、「ようこそ星空の世界へ」、「世界の気候」の計4本を制作し、

(1) 自主制作による経費節減

(2) 参加性の高い展示ソフトであること

(3) 自分で学習できる機能を有すること

(4) 展示テーマに沿った内容にすること

(5) 資料として役立つものとすること

(6) キャラクターの動きを入れること

(7) 著作権をクリアーすること

(8) 激しい操作に耐えられること

以上8つを目標とし、(1)〜(7)は概ね達成できたが、(8) は必ずしも達成できなかった。

 また、自主制作のメリットとしては

・経費の節減、追加・訂正・新規作成可能

・プログラム作成能力向上

 があげられる一方で、デメリットとして

・制作にかかる時間と労力の多さ

・複雑なものは制作不能、バグの多さがある。

 代表的なバグとして

・メモリーの不足によるソフトの停止

さらにバグとは言えないが

・反応の遅さも課題として残っている。

 これらの対応策として、メモリーの拡張、処理能力の高い機種への更新、プログラムの工夫などがあげられ、今後、解決へ向けて努力していきたい。