研究目録(要約)
第20号(1997年)

原 著
地学系

  • 富山県八尾町井栗谷から産出したウミガメ化石
    平山 廉(帝京平成大学)・後藤道治(科学文化センター)・森作三恵子(富山市)
    富山県八尾町井栗谷土川橋下に露出する地層(約1600万年前)から見つかったウミガメの右肋板骨(推定される甲羅の長さ約50cm)を報告する。

  • 生物系

  • 石川県のハナバチ類
    根来 尚(科学文化センター)
    石川県から報告のあるハナバチ類および筆者等の採集標本をもとに,石川県のハナバチ相をとりまとめた。石川県産のハナバチ類として7科27属189種が記録され、内24種は石川県初記録である。

  • 庄川町庄川河川敷におけるハナバチ相の生態的調査
    根来 尚(科学文化センター)
    1994年と1995年、富山県庄川町庄川河川敷でハナバチ類の生態的調査を行ない、6科15属58種1058個体のハナバチが得られた。採集個体数の約25%がマメ科、約20%がキク科植物で得られた。

  • 富山県のハナアブ(I)
    池崎善博(長崎県立長崎北陽台高校)・根来 尚(科学文化センター)
    富山県内から採集のハナアブ科昆虫(双翅目)を調査し、3亜科41属56種のハナアブが確認された。それらの内19種は富山県から初めて記録される。

    日本産オトシブミ科(鞘翅目)の宿主植物 (1)オトシブミ亜科とアシナガオトシブミ亜科
    鈴木邦雄・上原千春(富山大学)
    多数の文献資料の調査に基づいて、日本産オトシブミ科の宿主植物に関する既知宿主植物一覧を作成した。本報は、その第一報で、オトシブミ亜科とアシナガオトシブミ亜科についてまとめた。

  • 富山県のクマムシ類の分布とコケ類
    宇津木和夫(東京女子医科大学)・平岡照代(平岡環境科学研究所)・布村 昇(科学文化センター)
    県内の各地コケ類に生息する陸生のクマムシ(緩歩動物)の分布を調査し、31種のクマムシを見いだした。クマムシ類のコケ試料数に対する生息率は47.4%で日本国内では高かった。異クマムシ類が3属9種、真クマムシ類が8属22種であった。コケの垂直分布とクマムシ類の生息との関係も検討したところ、クマムシ類の生息には乾燥時のコケの形態が関係していると考えられる。

    徳島県橘湾から発見されたDynoides属コツブムシ科(甲殻類、等脚目)の一新種
    布村 昇(科学文化センター)
    徳島県橘湾から発見された等脚目を調査し新種 Dynoides artocanalis(和名:ホソミゾウミセミ)として記載した。本種は雄の背部の中央突起が欠如していること、触角がより長いが、鞭数が少ないこと、目が小さいこと等が特徴。

    富山市科学文化センター所蔵の瀬戸内海産等脚目甲殻類 II.ヘラムシ類
    布村 昇(科学文化センター)
    富山市科学文化センターに所蔵されている瀬戸内海産等脚目甲殻類の標本を順次報告しているが、第2報ではヘラムシ亜目について扱った。オオメヘラムシの再記載を含む8種を報告した。

  • 富山市古洞池周辺の土壌動物相−1
    布村 昇(科学文化センター)
    富山市三熊の古洞池周辺土壌動物相を調査した。今回はミミズ類、ヤスデ類、コムカデ類、ワラジムシ類ならびにトビムシ目について報告した。

  • 富山市古洞の森の鳥類相
    湯浅輝久(高岡市)・山野浩平(楡原中学校)・篠田 耕児(富山市)
    富山市古洞の鳥類相を調査し、水鳥、水辺鳥23種、陸鳥52種の計75種の鳥類が確認された。そのうち、留鳥は35種、夏鳥は14種、冬鳥(漂鳥)は24種、旅鳥は2種である。

  • 短 報
    富山県新記録の植物XI
    太田道人(科学文化センター)
    以下の5種の植物を富山県のフロラに追加する。 ヤマドリトラノオ、モウズイカ、マンセンカラマツ、テリミノイヌホオズキ、チクゴスズメノヒエ。

    ハナハマセンブリ(Centaurium tenuiflorum)富山県に帰化
    武田 宏(富山県立滑川高校)・大原隆明(富山県中央植物園)・太田道人(科学文化センター)
    富山県滑川市に生育していたリンドウ科のハナハマセンブリ(Centaurium tenuiflorum)を新帰化植物として報告した。

  • 庄川河川敷のサクラアリ
    根来 尚(科学文化センター)・荒木克昌(アースコンサル株式会社)
    荒木による富山県西部の庄川河川敷昆虫調査によって、富山県未記録のアリ、サクラアリが発見された。

  • 富山県小矢部市におけるホクリクサンショウウオの記録
    南部久男(科学文化センター)
    ホクリクサンショウウオは、石川県と富山県に生息し、絶滅危惧種に指定されている。富山県では、西部からの記録はなく、今回小矢部市で確認したので、産卵状況等について報告した。

  • 大阪市立自然史博物館所蔵のアベサンショウウオの1標本
    南部久男(科学文化センター)
    アベサンショウウオは、京都府北部と兵庫県北部に分布が限られ、環境庁の絶滅危惧種に指定されている。今回、大阪自然史博物館所蔵のアベサンショウウオの1標本の形態等について報告した。

  • 富山県宇奈月町からのナガレタゴガエルの記録
    南部久男(科学文化センター)・荒木克昌(アースコンサル株式会社)
    ナガレタゴガエルは、関東、中部、近畿地方の低山の森林帯に生息するが、富山県での記録は少なく、今回、宇奈月町で確認されたので、状況等について報告した。

  • 1996年1月7日の大流星
    本郷喜代則(小杉町)・下田力(日本流星研究会)・布村克志(科学文化センター)
    1996年1月7日、茨城県つくば市に隕石が落下し、「つくば隕石」と命名された。その落下前に隕石が大気中を飛行している様子を本郷が写真撮影したので報告する。落下前の隕石が写真に捉えられたことは日本で初めてである。

  • 資 料
  • 富山市の平地積雪断面測定資料報告 1995-96年冬
    石坂雅昭(科学文化センター)
    1995年の12月から1996年の3月かけての冬期間に行った積雪の断面観測の結果を報告した。


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