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普及雑誌「とやまと自然」2002年度 夏の号 特別展「はかる」特集(ウェブ版)

■さまざまな「はかる」:▼重さをはかる(量る)

重さをはかるにはどうしたらいいでしょうか?まずは手ではかることを考えてみます。最初に、手で持てるかどうかを試してみます。持てないときには「手で持てないくらい重い!」ということが分かります。手に持てる重さであれば、身の回りのだいたいの重さの分かっているものと、両手に持って比べてみましょう。1.5リットルのペットボトル入りのお茶は1.5kgより少し重いくらいですし、350mlの缶ジュースの重さは400gくらい、一円玉は約1gです。これらの物と比べれば、だいたいの重さがわかります。しかし、量りたい物が大きさの割に軽かったり重かったり、持ちやすい形や持ちにくい形をしているなど、物の大きさや形にまどわされて、手できちんと重さを量るのは難しそうですね。

そこで、道具を使って重さを量ることにします。重さを量る道具は、どのようなものがあるでしょうか?上皿ばかり、ぜんまいばかり、体重計(台ばかり)や天秤などが思いつきます。これらの重さを量る道具は、大きく二つに分けることが出来ます。

一つは、物の重さのために下向きにかかる力(重量)によって、バネがのびたり物が押しつぶされたりする大きさから、重さを量る道具です。上皿ばかり、ぜんまいばかり、体重計(台ばかり)などがこれにあたり、重量計とも呼ばれています。

上皿ばかり
図1:上皿ばかり

これらは、物を台に乗せて目盛り(またはデジタル表示)を読めば、重さがすぐ分かるので、便利です。しかし、重さを精密に量りたいときには、注意が必要です。なぜなら、重量というのは地球の重力(引力)によって物に働く力の大きさであり、地球の重力の大きさは地球上のどこででも同じというわけではないので、重量は場所によって変わってくるからです。地球の重力の大きさが場所によって変わる原因は、地球の自転や、地中の岩盤などの構造が場所によって違うことなどです。(北極・南極より赤道上の方が約0.5%小さいです。)また、月にいけば重力の大きさが地球の約6分の1なので、重量計で重さを量ると、地球での値の約6分の1になってしまいます。

もう一つの重さを量る道具は、天秤です。先ほど述べたとおり、重力の大きさが変わると、物の重さも変わってしまうのですが、物そのものは変わっていないので、どこではかっても同じ値を示す「真の重さ」というものがあるはずです。この真の重さは「質量」と呼ばれています。天秤は、この「質量」を量ります。

天秤は、お皿の上にある分銅(ふんどう)と物の重さを比べます。重力が変わると重さも変わりますが、分銅と物に働く重力の大きさは同じなので、重さの変わり方も同じため、物と分銅が同じ質量であれば必ず釣り合います。天秤であれば、月の上でもきちんと質量が量れます。

天秤分銅
図2:天秤と分銅

天秤の歴史は古く、古代文明が出来た頃からありました。単純な構造ですが非常に精度が良いので、現代の最先端の科学の場面でも、最も精密に重さを量りたいときには、天秤が使われています。天秤で重さを量るのは、重量計に比べて少々面倒ですが、このような利点があるのです。

はじめに 重さ 長さ 時間 温度 単位

富山市科学文化センター
公開 市川 2002-08-18
最終更新 市川 2003-03-26
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