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今月の話題:No.6

ケサラン−パサラン

“ケサランーパサランって、何か知ってるかい.植物とも動物とつかないのに、おしろいを食べてふえるんだって・・・・”去年の今ごろ、全国的に話題となったケサランーパサランのニュースをおぼえていますか。この不思議なものは、一体何なのでしょうか。

よく調べてみると、これは生き物ではなくて、動物や植物の体の一部のようです。今でも知られているものには、ウサギの尾の端や白ギツネなどの毛玉である動物のものと、アザミ類の種子の冠毛である植物性のものとがあります。

サワアザミのケサランーパサランは、中央に直径1mmの輪があって、そこから20本ほどの冠毛が放射状にひろがり、直径2cmほどの球形をしています。冠毛には、鳥の羽のような細かい枝があるので少しの風ででもふわふわと動き、まるで生き物のようにみえます。

ケサランーパサランは、生き物ではないのになぜおしろいを食べるといわれているのでしょうか。ケサランーパサランが、家庭に幸福を招くマスコットだといわれていることと関係があるようです。幸福を招く大切なものですから、腐らせてはなりません。それで、おしろいを使って乾燥させてのでしょう。こころみに、ケサランーパサランを湿ったところにおいてみると、冠毛が徐々にしぼんで雨がさを折りたたんだようになります。次に、やがて元のまりのようになります。おしろいは、乾燥剤のはたらきをしているのです。古い時代から、おしろいを使って保存していきくうちに、いつの間にかおしろいは、ケサランーパサランの食べ物だといわれるようになったのでしょう。

また、子どもを産んでふえるというのも、いつの間にか話に尾ひれがついたためだと思います。

今年もアザミ類のケサランーパサランが、風でとんでくる季節になりました。いろいろな種類を集めて、観察するのも楽しいことです。■

文:長井
発行:昭和53年9月


富山市科学文化センター
作成 樽政 2001.9.24.
最終更新 市川 2001.12.27.
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