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今月の話題:No.297

<富山から消えた動物 4>
イノシシ

イノシシは、ニホンジカやカモシカ、ツキノワグマとともに、本州で見られる大きな哺乳類です。富山県には大正時代頃から長い間いませんでしたが、最近再び見られるようになってきました。

イノシシの分布

日本には、本州、九州、四国にニホンイノシシが、沖縄などの南西諸島には小型のリュウキュウイノシシがいます。本州ではイノシシは雪の少ない西日本や関東地方の里山に分布しています。雑食性で林に生える植物の茎や根をよく食べ、ドングリも好物です。カエルや昆虫等の動物も食べます。春に2〜8匹の子を産み、子供には白い模様があり、ウリ坊とよばれています(図1)。成長も早く2年で子を産みます。ブタとよく似ていますが、ブタは約9000年前にイノシシが家畜化された動物です。イノシシは体重が重く足が短いため、雪の多い地域での生活は苦手です。30cm以上の積雪が70日以上続く地域には生息できないと言われ、石川県から東北地方にかけての雪が多い日本海側の多雪地帯にはほとんど分布していませんでしたが、最近、北陸地方で増えてきています。

ニホンイノシシ
図1:ニホンイノシシ

増えつつあるイノシシ

江戸時代には越中の各地でイノシシやシカがイネを食べたりするため、鉄砲で追い払ってほしいという願いがでているほどたくさんいたようです。明治時代には当時の中新川郡や射水郡で猪の毛皮が生産されていますので、当時は生息していたようです。しかし、大正時代の終わり頃から最近までの70〜80年間、狩猟でイノシシはほとんどとられていませんので、長い間イノシシがいなかったことが分かります。たまに岐阜県境に近い細入村などで目撃されるだけでした。

最近イノシシは全国的に増え、1999年度には15万2千頭あまりが狩猟や有害鳥獣駆除でとられています。石川県でもかなり増えてきており、2000年度で212頭が狩猟でとられています。富山県でも最近イノシシが目撃されるようになり、2000年度には25頭が狩猟でとられています。科学文化センターのアンケート調査では、細入村、大沢野町、山田村、八尾町、立山町などの神通川水系と石川県境の福光町などで目撃されています(図2)。富山県へは1990年代はじめから、岐阜県飛騨地方から神通川流域沿いと石川県境付近から進出してきたようです。最近では、秋にイネが踏み倒される被害も出ています。

最近のイノシシの分布(2000年〜2001年)
図2:最近のイノシシの分布(2000年〜2001年)

イノシシは多雪地帯では生息できませんが、1987年の冬以降の暖冬で里山の積雪が少なくなり、冬でもイノシシが生活できるところが増えてきました。このことが北陸地方でイノシシが増えてきた原因の一つと言えます。このまま暖冬が続くと、さらに増えていくかもしれません。

文:南部 久男
発行:平成14年12月


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