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渾天儀
渾天儀とは
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渾天儀は本来は二種の環の集合体と自由に回転する、のぞくための筒からなる天体の位置を測定する器具です。現存する渾天儀の内、観測に使用されたものは仙台市天文台所蔵の渾天儀のみであり、残りのものは天空の模型として説明に使用されたことがわかりました。説明用の渾天儀は観測用の渾天儀を小さくしたもの、中心に地球を配し、月の動きを表す白道環を配置したもの、その白道環を天の北極と南極を結ぶ軸だけでなく、黄極を結ぶ軸でも回転できるようにし、白道環の長期間の動きを表現できるようにしたものの3種類に分類しました。
渾天儀の構造と名称
渾天儀の構造は一般に三重構造になっています。この構造は外側から六合儀・三辰儀・四遊儀とよばれる構造で、この中に環の集合体を配しています。六合儀は一番外側の三つの環を指し、普通お互いに固定されています。三つの環の接点が六つあり、または天地四方の六方を象る意味として六合儀と呼ばれています。三辰儀は外から2番目の環の集合体で、普通は天の北極と南極を結ぶ軸で回転します。天の赤道を表す赤道環と太陽の通り道を表す黄道環が配されています。四遊儀は最も内側の環の集合体で、天の北極と南極を結ぶ軸とその中心に回転軸があり、そこに玉衡と呼ばれるのぞき筒があり、どこにでも向くようになっています。(図は「天文図解」(個人蔵)の図を見やすくしたもの)
初期の頃には玉衡がありますが、時代がたつと地球の模型や月の動きを表す白道環が設けられるようになります。馬場信武著「初学天文指南」(1706)によると、前者は「せんき玉衡」、後者は「新製渾天儀」と呼ばれています。後者はさらに、回転軸も工夫され、四重構造のものも現れてきます。「初学天文指南」及び西川正休著「虞書暦象俗解」(1720)によるせんき玉衡タイプの各部位の名称は以下の通りです。
(1) 六合儀にある三種の環
天経環 北(子)と南(午)を結ぶ環。天球上の子午線を表す(子午規・子午環・天背環・黒雙環とも呼ばれる)。
天緯環 東(卯)と西(酉)を斜めに結ぶ環。天球上の赤道を表す(赤道環・赤単環・卯酉規とも呼ばれる)。
地平環 水平の環。天球上の地平線を表す。
水を入れ水平を出すための池があるものもある(黒単環とも呼ばれる)。
(2) 三辰儀にある三種の環
三辰の雙環 天の北極と南極を結ぶ環。天球上の経線を表す(黒雙環、新製渾天儀では天経環とも呼ばれる)。
赤道環 天経環に対し、直角にある環。天球上の赤道を表す(赤単環とも呼ばれる)。
黄道環 天の北極と南極を結ぶ環に66.5度の角度をなす環。太陽の通り道、天球上の黄道を表す(黄単環とも呼ばれる)。
白道環 三辰儀全体を補強するための環。白単環とも呼ばれる。ここでは月の通り道を表す白道環と区別するために白単環と呼ぶ。
(3) 四遊儀にある環等
四遊の雙環 天の北極と南極を結ぶ環。天球上の経線を表す(黒雙環、新製渾天儀では天経環とも呼ばれる)。
直距 天の北極と南極を結ぶ軸
玉衡 星を覗くための穴のある筒
(4) 台
十字の台には水平を出すための溝(水テツ、水平)があるものもある。
(5) 柱
龍をあしらうことが多い。
新製渾天儀タイプでは、四遊儀の玉衡が地球に置き代わり、四遊儀の天経環に月の通り道を表す、白道環が設けられます。「初学天文指南」では「天度を測り、七星の行度、二十八宿の躔次、閏月、昼夜の刻差及び月行の九道交蝕等を見るに易からんと欲す」とあり、天空の模型として使用されたことがわかります。また、中心に地球を置いたのは、「日月の蝕を見るなり」とあります。さらに江戸後期の渾天儀には高度を表す環が現れました。渾天儀の中には歯車のあるものもあり、実際の星空の動きを再現させようとしています。なお、上記の表現は中国の表現とは異なっています。(図は「天文図解」(個人蔵)の図を見やすくしたもの)
富山市科学博物館:富山市天文台
作成 2004-02-14
最終更新 2007-07-12
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