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とやまの河原の石ころ図鑑をつくろう!

富山の河原には、手頃な大きさのまるくてかわいい石がたくさん落ちており、博物館には河原で拾った石の名前を聞きに多くの方が来られます。

その石の何かが気になり、好きになって拾ったのだから、もっとその石のことを知ってほしい。そして、自分で調べる楽しさや、深く知る楽しさ、興味が発展する楽しさも知ってほしいと思っています。

博物館ボランティアの岩石グループ「ごろごろ」では、子どもも大人も思わず石拾いがしたくなるようなとやまの河原の石ころ図鑑を作成しています。

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これまでの調査と成果

平成22~24年度  常願寺川(調査終了)
  収蔵資料目録第26号「常願寺川の石」発行

平成25~28年度  神通川(調査終了)
  収蔵資料目録第30号「神通川の石」発行

平成30年度~   片貝川・早月川を調査中

常願寺川の調査と図鑑作りの記録

2012-01-31 図鑑作成中


少し間があきましたが、活動は継続中です。

今は、図鑑のレイアウトを概ね決定し、具体的にページの素材を作っている段階です。

石ころを見分ける特徴を考えたり、ちょっと自分でも試せるような実験を考えたり。
市販の図鑑には、石ころを見分ける特徴があまり書いていないので、頭を悩ませながら、みんなで考えています。

子どもっぽくなりすぎず、大人でも石集めがしたくなる。難しくなくて眺めているだけでも楽しい。

カチコチの石ころ図鑑だけど、やわらかーい図鑑になればイイなーと思っています。


2011-10-11 和田川~有峰湖の調査へ



すっかり秋めいてきました。
岩石グループは、常願寺川の中流~下流となる扇状地内の河川礫調査を終え、
これからは上流と支流の調査を行います。

この日は、常願寺川の支流である和田川へ行き、
河川礫調査を行いました。

常願寺川中~下流部では、安山岩や溶結凝灰岩がたくさん落ちていますが、

和田川では、これらの石は無く、手取層群由来の礫岩や砂岩など、飛騨変成岩類由来の花崗岩類や石灰岩、そして流紋岩などが落ちています。

有峰湖では、古真川湖の湖成層の観察や、流紋岩の露頭の観察などを行いました。今後も、上流域で石ころのふるさとである露頭の発見・観察などをしていきたいと思います。秋も深まってきたので、次回の野外活動は来年度でしょうか。



2011-09-27 企画展「ふしぎいっぱい自然と科学」はじまりました


9月24日より、企画展「ふしぎいっぱい自然と科学」がはじまりました。

この企画展は、身近な自然科学のおもしろさに気がついてもらおうと、
学芸員の目から見た自然のおもしろさや不思議を紹介する企画展です。

この企画展では、これまで岩石グループ「ごろごろ」で調べてきた、石ころから見る常願寺川の特徴や石ころ標本を紹介・展示しています。

まだ石ころ調査は継続しますが、こうやって、みなさんに見て頂けるような形になると嬉しいです。

企画展は10月10日(月・祝)までです。他にもおもしろい展示がたくさんありますので、お時間がありましたら、ぜひお越し下さい。

そして、さらに嬉しいお知らせです。
このパネルと標本は、企画展終了後「移動ミニ博物館」として、学校や施設などに貸し出しが可能となります。

また、貸出が始まった時に、ここでご紹介したいと思います。

常願寺川わくわくおさんぽマップも完成しました。
企画展では、A3にプリントしたものを、配布しています。
このマップを持って、多くの方が常願寺川へ行ってくれたら、と思います。

常願寺川わくわくおさんぽマップ
※ご自由にダウンロードしてお使いください。


2011-08-09 「常願寺川わくわくおさんぽマップ」を作成しています


夏休みになりました。石ころ拾いの季節です。

この季節になると、博物館には自由研究などで採取してきた石ころの名前を聞きに、子どもたちが訪れます。子どもたちが石を拾いに行くのは、だいたい「川」かヒスイがとれることで有名な「宮崎海岸(朝日町)」のどちらかのようです。

そんな中、ただいま岩石グループ「ごろごろ」では
「常願寺川わくわくおさんぽマップ -こんどの休みは常願寺川へ石ころ拾いに行ってみよう-」
を作成しています。

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石に興味があって拾いに行った人も、興味がないけど川に行った人も、流域の見どころや上流の様子、駐車場・トイレの情報が載っている地図があったら、もっと自然観察や採取を楽しめると思うんですよね。

夏休み中には間に合いませんが、9月24日から当館ではじまる企画展「ふしぎいっぱい自然と科学」で、常願寺川の石ころと一緒に展示する予定です。希望者にはこのおさんぽマップを差し上げたいと思っていますので、完成を楽しみにしていてくださいね!

2011-07-26 常願寺川の探検を行いました


常願寺川の石ころ図鑑には、常願寺川流域の案内地図をつけようと思っています。

トイレや駐車場、お店、石ころ以外の自然観察の見どころなど、そういう情報があれば、もっと気軽に石ころ拾いに出かけられるのではないかなと思ったためです。

この日は、常願寺川河口に集合し、上流に向かって探検しながら、写真撮影を行いました。

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常願寺川流域には、1858年(安政5年)の大洪水の際に上流から土石流と一緒に流れてきた巨石がいくつも分布しているのも、大きな特徴です。


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(左)富山市大場地区 (中)富山市西番地区 (右)富山市西番地区

普段は水量も少なく、水の色も緑がかった青色で非常に美しい川ですが、豪雨などによって増水すると、上流の立山カルデラから流れてくる大量の土砂などによって、非常に荒々しい姿となります。

水の流れだけでは運搬されないこんなに大きな石も、水のなかに土砂や礫が混ざることによって、上流から運ばれてくるのです。


2011-07-12  こんな作業をしています その2


常願寺川の石ころを岩石学的に分類すると、約10種類に分けることができます。

たった10種類ほどではありますが、いざ自分の拾ってきた石ころに対して図鑑を見て名前をつけるというのは、意外と難しいです。

というのも、専門家以外の人が図鑑を見て標本の名前を付ける場合、絵合わせで似ているものを探していくことしかできませんが、岩石というものは、同じ名前でも色や模様など、見かけが全く異なることが多々あるので、難しいのです。

そこで、私たちは、図鑑の各岩石ごとのページに、チェックリストをつけ、自分の石ころが本当にこのページのこの岩石なのかチェックできるような、チェックリストを作ることにしました。

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今日は、ボランティアの皆さんに礫岩と砂岩について、見た目や手ざわり、雰囲気など、素人目に見た石ころの特徴をあげてもらいましたが、私からは出てこないような、「石の中に石がある(礫岩)」「丸くて女性っぽい(砂岩)」「見た目と触ったときのギャップが大きい(砂岩)」など、おもしろい石ころの特徴がでてきました。

こういう物の見方と学術的な物の見方、両方が載っている図鑑だと、おもしろくなるのではないかなと思っています(まとめるのが大変そうではありますが)

石ころの写真撮影、切断・研磨も進んでいます。

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石ころを半分に切断後、磨いてツルツルにする作業。蛍光灯が反射して映り込むくらいまで磨きます。こうして磨くと、石ころの模様などが非常に分かりやすくなります。


2011-06-28 こんな作業をしています その1


前回、野外で拾ってきた石ころをもとに、具体的に図鑑のページに載せる文や写真などの、素材作りに取りかかりはじめました。メンバーが10人ほどいますので、グループごとに分かれて作業をすることにしました。作業内容は、

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①図鑑に載せる石ころを15個ほど選ぶ
 代表的な見かけの特徴をもつものと、同じ岩石名だが見かけが異なる物

②うち1つは、半分に切断し、切断面をツルツルになるまで磨く
 磨いたあと、切断面をスキャナで取り込む→色と模様が分かりやすいような拡大写真 

③残りの石ころの写真撮影をする
 カメラの機種や写真の撮影環境によって、写真の色が実際と異なることがあるので、カラースケールを入れて撮影する

④岩石判別のためのチェックリストづくり
 自分で拾ってきた石ころが、本当にこの名前の石と同じものなのか、実験や観察によってチェックできるようなもの

⑤常願寺川流域のマップ作り
 石拾いに行ったときに、流域や沿岸を思わず歩いてみたくなるようなマップ(地学的な見所だけでなく、珍しい草花、お手洗いの場所やおいしいお店などの情報があれば、もっと気楽に石拾いに行けるのでは…?)

の5項目です。

石の選定一つとっても、例えば「花崗岩の特徴は何か」を知らないと、その特徴をもった石、もっていない石がわからないので、難しいです。
石の切断面を鏡のようにツルツルに磨くのも、一つ2~3時間ほどかかります。

具体的に、図鑑のページをつくるための作業を行ったのは、今日が初めてなので、徐々に慣れていくでしょう。今日は、チェックリストを考えるまでは手が回りませんでした。

試行錯誤しながら、進めていきたいと思います。

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礫岩いろいろ(常願寺川にはあまり落ちていない、存在量は0.5%未満)


2011-06-14 図鑑用の石ころ拾いに行きました


今までに各地で拾い、計測などをした石ころには、計測用の線などが書きこんであり、図鑑には使えません。

なので、図鑑に掲載するための石ころを拾いに、常願寺川へ行きました。


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常願寺川に落ちている石は、中流~下流では、花崗岩・花崗閃緑岩・安山岩・溶結凝灰岩の4種類でほぼ80%を占めます。これまで石ころ調査のために、各地点で200個ずつ石を拾い、石の種類やサイズなどを計測していたのですが、その200個にはひっかからなかったような石、礫岩や砂岩なども拾いました。

また、常願寺川本流の中流~下流部ではあまり落ちていませんが、支流である和田川などには石灰岩という真っ白い石がたくさん落ちています。和田川と常願寺川の合流地点にも足を運び、石灰岩の石ころを拾ったり、石灰岩が露出している崖などを観察しました。河原の石ころは、こういうところからくずれてくるのですね。

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ヤマカガシとアズマヒキガエルに遭遇。ヤマカガシは毒ヘビなので気をつけねばなりません!

そして、よく河原に落ちている溶結凝灰岩という石のふるさとでもある称名滝へ足を運びました。この日は運がよく、滝に虹がかかっていました。

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良い写真が撮れたので、図鑑に載せたいと思います。

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こちらは称名滝へ向かう道沿いにいたシマヘビ。なんだかカワイイ!


2011-05-31 図鑑レイアウト案 改善しました


図鑑のレイアウトの第2案(A3)について、指摘・改善点を出し合いました。

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石ころは、同じ名前でも、色や見かけが全然違うことがあります(そこが石の難しさでもあり、おもしろさでもあります)。なので、左のページにはいろいろな見かけをもつ石を並べました。一般的な図鑑には、模範的な特徴をもつ石の写真しかないので、そういうものを見ても、実際に色々なバリエーションをもつ岩石の名前をつけるのは難しいのです。

しかし、メンバーからは、石を拾ってきて「どれかな?」と思って図鑑を見るわけだから、やはり模範的な特徴をもつ石をトップに置くべきだという意見が出ました。

とはいえ、代表的な石だけ載っているのでは、市販の図鑑とおなじになってしまいます。せっかく地域に特化した河川ごとの図鑑を作るので、左のページ上部には模範的な石を、下部には「こんなのもあるよ」ということで、色々なバリエーションを載せることにしました。

また、ページのデザインについては、大人も楽しんで欲しいので、キャラクターを使ったりなど子供っぽくはしない、ただし、固くはなく柔らかいデザインで、ということになりました。

どんどん良くなってきました。


2011-05-17 図鑑レイアウト案作ってみました


GWをはさみ、少し日があきました。その間に、図鑑の案をつくってみたので、この日は、それを見て、改善点をあげることにしました。

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一つの石の種類にたいしてA4 1ページで作ってみました。

前回話し合いの際に出たように、濡れた状態と乾いた状態の比較写真をいれたり、岩石の表面の拡大写真をいれました。「この石はこういう所から流れてきたよ」という【石のふるさと】や、石にまつわるエピソードなどの読み物などもいれました。ただ石の名前を知るだけではなく、もっとその石について知ってほしいからです。

…ですが、これでは、自分で拾ってきた石がこれでいいかどうか分からない、ということだったので、次回までに、A4ではなくA3のサイズで再度つくり直してみることにしました。


2011-04-26 石ころを分類するポイントは?


3月に採取した常願寺川の石ころを、岩種ごとに分類してみることにしました。

ボランティアの皆さんは、石に詳しい方ばかりではありませんが、そういう方たちが、石ころを、どういう基準で、何を手がかりにしてどう分けるかを知りたかったためです。

みんなであれやこれやと分類してもらった結果、石を分類するときには、まず「色と模様」で分けることがわかりました。

私の場合は、石の構造と組織、なかに入っている鉱物の形など(模様とほぼ同じですがちょっと違う)から、この石がどうやって形成されたかを考え名前をつけていくので、ちょっと一般の感覚とは違うかもしれません。

岩石はまず、その成因によって3グループ(火成岩・堆積岩・変成岩)に大きく分けられます。岩石図鑑などは、そういった岩石の分類順に並んでいることが多いのですが、その分類がわからない人にとっては、やはり「色と模様」で似ているものを探していくしかありません。

それならば、最初から、「色と模様」で似た石を探せるような図鑑を作成したらいいのかもしれませんね。

次回までに、図鑑のページの案を作ってみることにしました。


2011-04-12 石ころの計測を行いました


前回野外で拾ってきた石(Jg-4)のデータをとりました。重さを測ったり、石のサイズ(3軸方向)を計測したり、円摩度の判別をしました。

また、図鑑にはどんな項目が載っていたら良いか、などを話し合いました。

石は濡れている時と乾いている時で見かけが大きく変わるものがあるので、濡れた状態と乾いた状態の両方の写真があるといい、という意見がでました。

そして、自分で図鑑を見て石の名前がつけられるように、見分けるポイント(色・形・模様・表面の様子)などが丁寧に解説してあるといいということでした。


2011-03-22 石ころ調査に行きました<立山町岩峅寺>


2010年には、常願寺川の下流~中流部の3地点(Jg-1~Jg-3)で、分布している石ころの種類やサイズ、重さや円摩度(どれだけ角が取れているか)、球形度などを調べました。その結果、上流から下流にかけて

①礫の円摩度が増加しない

②一般に侵食に強い花崗岩類が減少し、安山岩や溶結凝灰岩が増加する

という特異な特徴があることがわかりました。常願寺川では度々発生してきた土石流や洪水の際に、礫が割れたりしながら、単に重量の小さな礫がより下流まで一気に運搬されたと考えられます。

この日は、これまでの調査地点よりもう少し上流側、常願寺川扇状地の扇頂部に当たる立山町の岩峅寺付近(Jg-4)の石ころ調査をしに行きました。


100262_08.JPG今までは、1×1m四方の範囲内で200個の石を拾い持ち帰ってきて計測していたのですが、このあたりは、持ち帰れないくらい大きな石が多いので、現地で100個計測、残りの100個は持ち帰ることにしました。
※石に貼ったシールは、帰るときにきちんとはがしました。


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