彗星とは

彗星は太陽の周りを回る、氷でできた天体です。 日本ではその形が掃除につかう「竹ぼうき」に似ていることから「ほうき星」とも呼ばれました。江戸時代には「白気」などとも呼ばれました。
彗星の軌道
彗星は太陽を焦点の一つとする長細い楕円軌道を描いています。数十年で太陽の周りを回る彗星を「短周期彗星」、何千年、何万年もかかって太陽のまわりを回る彗星を「長周期彗星」と呼んでいます。長周期彗星は放物線に近い軌道を描いています。短周期彗星は長周期彗星がたまたま木星の近くを通り、木星の引力により軌道が曲げられて、楕円軌道になったものと考えられています。短周期彗星は150個ほど見つかっています。
彗星の構造
核とコマ
彗星の頭にあたる、丸く広がった部分をコマといい、長く伸びたものを尾といいます。上の写真は百武彗星を60cm反射望遠鏡で撮影したもので、コマが大きく広がっているのがよくわかります。
コマの中心部にはきらりと光るように見えるものがある時があります。これが核と呼ばれる、彗星の中心部です。上の写真では彗星の中心部に縦線がみえますが、それにあたります。本来は点に見えるはずなのですが、撮影中に彗星が移動して、線のように見えているのです。
1986年に接近したハレー彗星に向けて多くの探査機が打ち上げられました。その中でヨーロッパの打ち上げた探査機「ジオット」はハレー彗星に近づき核の撮影に成功しました。それによると、核は直径数km位の「汚れた雪だるま」のような天体です。水の氷、ドライアイス、凍ったメタンやアンモニア、チリや岩石のような物質でできています。彗星は太陽に近づくにつれて、太陽の熱により蒸発してガスを発生し、彗星の周りに色々な物資が放出されます。それがコマです。コマの直径の最大は太陽の半分くらいの大きさになることもあります。
彗星の尾は原則として太陽の反対方向になびきます。彗星の尾は、タイプⅠ、タイプⅡと呼ばれる二種類あります。タイプⅠは青い光の尾で、イオンの尾、プラズマの尾と呼ばれ、太陽の反対側にまっすぐ伸びています。主にガス(主にCO+、H2O+ )が光り、電気を帯びているので、太陽からの風の影響を強くうけています。タイプⅡの尾は白い尾で、ダストの尾と呼ばれています。いずれも彗星が太陽に近づくと発達します。
太陽と彗星の尾の関係
彗星の尾は太陽と反対方向に見えます。決して、進行方向の後ろにみえるのではありません。
軌道要素
彗星の軌道は以下の軌道要素で表されます。
  • T:近日点通過の時刻(暦表時で表わす)
  • q:近日点距離(太陽中心からの距離で天文単位で表わす)
  • ω:近日点引数
  • ω:昇交点黄径
  • i:軌道傾斜角
  • e:離心率
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