超新星
超新星とは
壮絶な星の最期 超新星とは巨大なエネルギーを伴う星の大爆発のことである。そのエネルギーは10の48乗から52乗ジュールに達っする。超新星にはⅠ型とⅡ型の2種類がある。Ⅰ型は連星で起こり、白色矮星に伴星から降り積もった物質がある質量を超えたときに内部で爆発的な核融合が起こったときに星全体がふっとぶ形で生じる。Ⅱ型は星の進化の末期で、中心部で鉄の光分解が生じたときに星内部に衝撃波が生じ、起こる。
歴史的な超新星
日時 | 極大等級 | 型 | 記録者・発見者 | レムナント |
---|---|---|---|---|
1006年 | -8~-10等 | Ⅰ | 明月記・宋史など | G327.6+14.6 |
1054年 | -4~-5等 | 明月記・宋史など | かに星雲 | |
1181年 | 0等 | 明月記・宋史など | G130.7+3.1 | |
1572年 | -4等 | Ⅰ | ティコ・明実録など | BCas(G120.1+1.4) |
1604年 | -2.5等 | Ⅰ | ケプラー・李朝実録など | V843Oph(G4.5+6.8) |
超新星の分類
超新星 | Ⅰ型 | Ⅱ型 |
---|---|---|
スペクトルの特徴 | 帯状スペクトル | 新星に類似。Hα、Hβの輝線 |
発生場所 | あらゆる型の銀河 | 渦巻き銀河、特に腕の部分、楕円銀河では未発見 |
頻度(銀河1個につき) | 300年に一度 | 100年に一度 |
絶対光度(最も明るい時) | -18等 | -17等 |
放出ガスの速度 | 1000~3000km/sec | 7000km/sec |
放出されたガスの量 | 0.1太陽質量 | 10太陽質量 |
放出エネルギー | 10の48乗から49乗ジュール | 10の51乗から52乗ジュール |
エネルギーのモード | 光と運動エネルギー | 主にガスの運動エネルギー |
星の種族 | Ⅱ | Ⅰ |
Ⅰ型超新星
近接連星で、相手の星から白色矮星に物質がふりつもり、その質量が太陽
質量の1.44倍(チャンドラーの限界質量)を超えると、白色矮星の中心で炭
素の爆発的核融合が起こり、ニッケルに変わる。この時のエネルギーは星全
体を吹き飛ばしてしまう。これがⅠ型超新星である。
Ⅰ型超新星では光度変化がいずれも類似しており、光度は極大になった後
急激に減光するが、その後はゆるやかに約50日の半減期で指数関数的な減
光を示す。スペクトル中に水素が見あたらず、ほとんどの型の銀河に出現し
ている。通常のSNⅠ型に比べ極大光度など光度変化の異なるものを、SN
Ⅰb型とよび区別する場合がある(この場合従来のタイプをSNⅠa型とよ
ぶ)。SNⅠb型は近接連星中の相手の星に、外層部をはぎ取られた大質量
星と考えられている。SNⅠ型の場合、ふつう爆発後に中心核は残らないと
考えられている。1006年の超新星、B Cas(チコの星:1572年)、V843 Oph(ケ
プラーの星:1604年)、S And(M31)、Z Cen(NGC5253)、などがその例にあたる。
なお、光度曲線の半減期を80日とし、これがニッケルが鉄に崩壊する半減
期と対応するという説もある。スペクトル型から大量のニッケルが生成され
ていることは証明されている。
Ⅱ型超新星
重い星の中心核における重力崩壊による爆縮と、これに伴う星全体の爆発
現象。太陽質量の約10以上の重い星は進化の最終段階で中心核に鉄が生成さ
れ、そのまわりに層状に軽い元素がとりまき、最外層は水素となっている。
鉄はこれ以上、エネルギーを生成できないので、中心部への圧力が次第にま
し、中心部は収縮する。すると、鉄の光分解という吸熱反応が起こり、中心
部の圧力は減少、星全体が重力崩壊をおこす。その過程の中で、中心部の密
度がある、一定以上になると、核力による斥力が起こり、収縮はとまる。す
ると、落ち込んできた物質ははね返され、強い衝撃波となって外方向に向か
い、星の外層部を爆発的にはねとばす。これがⅡ型超新星である。外層部は
水素を多く含むので、スペクトル中にバルマー線など水素の線が見える。
Ⅱ超新星では光度変化にそれぞれ個性があり、極大光度に達した後の減光
中の一時期、明るさの変化の少ない時期が見られるものがある。Ⅱ型超新星
は主に渦巻銀河の腕に出現する。中心核が爆発後も残存する場合が考えられ、
中性子星(パルサー)やブラックホールになると考えられている。SN1987A
(大マゼラン銀河)、カシオペヤA、はくちょう座の網状星雲を作った超新星
などがこれにあたる。Ⅰ型ほど、大量の鉄は作らない。
超新星レムナント
超新星爆発で放出されるガスの運動エネルギーは約10の44乗から45乗ジュールにもなり、あまりにも巨大なため、爆発後は何千、何万年にもわたって、その痕跡を残す。これが超新星レムナントである。レムナントは150個以上のものが電波観測で見つかっており、この内、年齢が若く、X線を放出するのは50個ほど知られている。銀河系内で発生したものは185年の超新星、393年の超新星、1006年の超新星のレムナントが知られており、1054年の超新星のレムナントはかに星雲である。レムナントはまわりのガスを圧縮し、磁場も圧縮しながら膨張している。電子はこの膨張で加速され、高速になり、磁場のまわりをまわりながら、電波を放出する。これが電波が観測される超新星レムナントの正体である。
アメリカのルトガーズ大学のジョン・ヒューズ博士らはカシオペヤ座A周囲のガス雲の一番外側に鉄を多量に含んだかたまりがあることを発見した(Aj 2000年1/10:ニュートン5月号)。超新星レムナントから鉄が発見されたのは初めてである。さらに鉄だけでなく、ガス雲の内部に珪素も見つかった。これは爆発のときに恒星中心の鉄を含む物質が飛び散り、次に一つ外層の珪素を含む物質が飛び散ったと考えられる。
アメリカのルトガーズ大学のジョン・ヒューズ博士らはカシオペヤ座A周囲のガス雲の一番外側に鉄を多量に含んだかたまりがあることを発見した(Aj 2000年1/10:ニュートン5月号)。超新星レムナントから鉄が発見されたのは初めてである。さらに鉄だけでなく、ガス雲の内部に珪素も見つかった。これは爆発のときに恒星中心の鉄を含む物質が飛び散り、次に一つ外層の珪素を含む物質が飛び散ったと考えられる。