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メソポタミアで生まれた星座

こでは、星座の元になったとされる、境界石に描かれている神様や、 動物と人間が合体した神様、動物と動物が合体した神様などが生まれた メソポタミア文明について解説します。 
(1) メソポタミア文明
紀元前3500年ごろから今のイラン・イラクからシリアにかけて栄えた世界4大文明の一つです。
階層のあるピラミッドのジッグラトが建設され、粘土板にくさび形文字が刻まれ、法律が整備されるなど高度な文明が形成されました。
(2) メソポタミアの場所
チグリス川とユーフラテス川に挟まれた地域を中心に文明が発達しました。
当時の都市は ●、現在の都市は □で表わしました。
現在のニュースでも時折、耳にすることのある地名です。
(3) メソポタミアは規律ある社会
-ハンムラビ法典-
「目には目を、歯には歯を」というフレーズをよく聞くと思います。ハンムラビ法典の中の一つです。
ハンムラビ法典は、ハンムラビ王が作ったといわれ、紀元前1750年ころに成立したといわれています。
この法典の目標は、強いものが弱いものを損なわないようにし、王様の下に、規律ある社会を築こうというものです。
-契約の象徴 境界石-
紀元前1500年頃には、王様が貴族や高官に土地を与えた証明として、石が残されるようになりました。
これは境界石と呼ばれています。この境界石には神様がたくさん彫られ、神様に誓った契約であることから、この石を勝手に動かしたり、契約を破った者には災いが起こるとされました。
右の図の例には月神、太陽神、金星神とともにさそり神も描かれています。さそり神は現在のさそり座にあたります。
(4) メソポタミアの宇宙と星座
メソポタミアに伝わる神話では、天地が作られた時、空を3つに分け、そこに星座が作られました。
1年を12か月とし、1つの月に対し3つずつ、合計36個の星座が作られました。
その後、月の神様を夜の主たる神様とし、金星の神や太陽の神などがつくられました。
また、太陽や惑星などは、月の旅する道と同じ道を旅するとされました。
(5) 星座は神に似せられ、動物と人間が合体した神
星座は神様の姿に似せて作られました。境界石を見ると星座と関わる様々な神様が描かれています。
また、メソポタミアでは、人間と動物が合体した神様が多くみられます。人間と馬が合体したのが「ケンタウロス」、人間とさそりが合体したのが「さそり人間」、やぎと魚が合体したのは「やぎ魚」です。
(6) 神が描かれた境界石
境界石の表面に見える図柄を詳しく見ていきましょう。
最上段には、天体の神様が描かれています。左から、金星の神イシュタル。中央には月の神シン。右は、太陽神シャマシュです。
2段目、3段目には、四角い祭壇の上に神が載っています。
2段目の左から、角冠、亀、2つのらせん、楔(くさび)が描かれ、それぞれ、天空神アヌ、水神エア、不明、守護神ナブを表しています。
3段目は左から、獅子頭、いぬ、さそりが描かれ、それぞれ、冥界神ネルガル、癒しの神グラ、愛の女神イシュハラを表しています。
そして、左側面から上部にかけて、蛇が描かれ、癒しの神イシュタランを表しています。
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