富山市科学博物館 > ジュニア科学賞・とやま > 第9回[平成23年度]
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畑の近くを流れる小川で野生のメダカに出会って以来、メダカを一心に見つめてきた。絶滅の危機にあるメダカのことを気にかけ「メダカの命を守りたい!」という優しい心が研究の随所に現れている。メダカを題材に創作した絵本は内容のみならず描写力に優れ、受賞者の秀でた感性を物語っている。
3年間一貫してメダカの研究に取り組んできた。そのテーマはメダカの特性、飼育方法、生息環境、産卵行動、卵の発生、遺伝など多岐にわたり、総合的に研究を重ねてきた努力は素晴らしい。メダカだけではなく、川にすむ生き物全体の生態や人間とのかかわりについて真剣に考え、地元の方々とともに河川の調査・保全活動に積極的に参加し、生物の連鎖や自然環境に目を向けている点も高く評価できる。
寒い冬も暑い夏も、毎日欠かさずに玄関先で雨水を採取し調査を行ってきた。キッチンや居室など自宅の至る所で実験や分析を重ね、家族の温かいサポートのなか、研究に没頭した生活を送った。「身近な場所で実証したことをグローバルな視点で考える」という科学研究の基本姿勢を既に実践しており、受賞者の大きな可能性を感じさせる。
毎日午前7時と午後7時に、自宅の玄関先で雨水・雪水を採取して酸性雨の調査を行ってきた。その粘り強い努力は他に見られない素晴らしい点である。多項目にわたる水の化学分析だけではなく、天気、風向風速、周辺の環境変化など詳しくデータを記録し、互いを関連づけて考察している点も優れている。酸性雨を自分自身の身近な問題としてとらえ、自らが出来ることを実践して環境を守っていきたいという姿勢も評価できる。
地元の野球チームでピッチャーをつとめる活動的な少年。1年生の時には「どうしたら速く走ることができるのか」、5年生では「変化球はなぜ曲がるのか」など、スポーツとかかわりのあるテーマを選んで研究に取り組んだ。またシャボン玉、アリ、ショウジョウバエ、鉄のさびにも着目し、身近な生き物や自然現象のなかに疑問を見つけ追究してきた。いずれの研究も鋭い感性と好奇心にあふれている。
水中のさびた鉄釘に振動を与えるとさびが全て釘から落ちることに注目し、「鉄釘の表面にさびが付くのではなく、鉄釘から何かが水に溶けてさびに変化しているのではないか」と仮説をたてて研究に取り組んだ。この鋭い着想が非常に優れている。また仮説を実証するために的確な実験方法を考え出す創造力、現象の観察力、結果の分析力、それらを論理的にまとめる思考など、その能力は抜きん出ている。