富山市科学博物館 > ジュニア科学賞・とやま > 第17回[令和元年度]
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第17回「ジュニア科学賞・とやま」表彰式
(2020年2月12日 富山市科学博物館にて)
幼稚園の頃から毎年、セミの抜け殻集めをしているうちに、羽化の時期や日によって個数が変化していくことに気づく。この疑問を解決するために、5月末から8月末までの毎日、雨の日も風の日も近所の公園に通い、2700個以上のセミの抜け殻を採取し、データを分析した努力家。羽化できずに死んでしまったセミにも心を寄せる優しい小学生。
98日間かけて集めた大量のセミの抜け殻から、種類の同定やオス・メスの区別を行い、セミが地中から出た穴の数も数え続けた粘り強さは素晴らしい。データをグラフにきれいにまとめたことで、羽化する時期のピークは、オスの方がメスより早いこと、羽化が天気と関係することを発見している点も評価できる。鋭い観察力を武器に、じっくり探求する姿勢を続けてほしい。
牛乳パックでほかけ船を作り、風をあてて遊んでいるうちに、ほの形や大きさによって、船が水面を走るスピードが異なることに気がついた。それからは毎日思いついた形のほを作っては、家のお風呂に浮かべて実験を続けている。新しいアイディアを試すため、今日もわくわくしながら、風呂場へと向かっていく。
4年間、ほかけ船のほについて、毎日のように新たな疑問をもちながら粘り強く実験を繰り返し、実験結果から次の実験課題を次々に発見する着眼点がすばらしい。ほの大きさや形のみならず、角度、重さ、取り付け位置について精密に実験を行い、結果をわかりやすくグラフにまとめている点も評価できる。さらに研究を進めて究極のほかけ船を生み出してほしい。
大阪北部地震をきっかけに液状化現象に興味をもち、その発生条件や液状化に強い地盤を探し求めている。液状化実験では、モデル地震を何百回も起こしたり、地盤の強さを測る貫入試験では、300 gのおもりを約3万回も落とし続けたりした。細かな条件設定と実験を得意とする科学者。。
富山を液状化現象から守るヒントとなる地盤の含水量・液状化のしやすさ・強度に関する多くのデータを収集するため、常願寺川河口や岩瀬浜へ10日間通い地面の含水率を測定したり、砂や土、小石などの組み合わせを変えて約170回も貫入試験を行ったりした。その粘り強い取り組み姿勢がすばらしい。収集したデータを基に、自然災害から地域を守る科学者を目指して欲しい。