富山市科学博物館 > ジュニア科学賞・とやま > 第18回[令和2年度]
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第18回「ジュニア科学賞・とやま」授賞式
(2021年2月12日 富山市科学博物館にて)
テントウムシ相の調査と生態観察を6年間続けている。これまでに12種類684匹を探し出し、丁寧に記録を取った。今年はナミテントウの斑紋パターンの研究に取り組んだ。斑紋パターンの遺伝を調べるため、毎日2時間かけて568匹のテントウムシを卵から育て、エサとなるアブラムシも採取した。テントウムシへの強い好奇心と愛情をもち、新たなテントウムシとの出会いにわくわくしている。
日頃のフィールドワークで抱いた疑問に対し、丁寧な観察と細かな記録により考察を深め、答えを導いている。自身の観察結果に加え、文献調査も行うことで、富山では65年前に比べ2紋型のナミテントウが増えたことを明らかにした点は素晴らしい。この原因について、視野を広げて考えている点も良い。今後も、野外観察を大切にした研究を続けてほしい。
アサガオの観察から芽生える疑問の解明に、6年間取り組んでいる。鉢から飛び出る長い根や花色の変化などを見つけると、すぐにその理由を解明するための実験と観察を積み重ねてきた。今年は、土壌中の酸・アルカリ成分や気温変化などのストレスが、アサガオの模様にどのように影響するかを明らかにした。生き物の生きる力に学びながら、アサガオのつるのごとく日々成長し続けている。
アサガオの色や形のわずかな変化も見逃さず、それらを的確にスケッチで記録していることから、不思議な現象に対する強い探究心が伝わってくる。新たな実験結果と過去の研究データとを関連付けて、冷静に考察を行っている。好奇心と観察力を武器に、これからも自然の中に見出した疑問の解明に挑んでほしい。
コロナ禍において、機能的なマスクの素材について研究した。様々な布やフィルターの機能性を評価するため、自身で実験道具を開発し、人の多い駅やスーパーマーケットなどに足を運んで、とことんデータを取った。いつも独創的な実験手法を編み出しては結果を楽しみ、分かる喜びを原動力として大人の科学者への道を歩んでいる。
マスクの防御効果・通気性・耐久性を評価するため、条件を変え、繰り返し実験・観察を行った。防御効果を評価するために、マスクの外側と内側についた菌をそれぞれ寒天培地で増殖させ、その量比を観察するアイディアは素晴らしい。663ページに及ぶ野帳の厚さは、持ち前の粘り強さと社会の役に立ちたいという思いの強さを表している。社会との関わりを大切に思う研究者を目指してほしい。