富山市科学博物館 > ジュニア科学賞・とやま > 第19回[令和3年度]
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第19回「ジュニア科学賞・とやま」授賞式
(2022年2月15日 富山市科学博物館にて)
野球が上手になりたいと強く願い、努力し続けるスポーツ少年。ボールをより速く投げたり、遠くまで打ったりするために、自分の動作を分析し、3種類の投球実験と7種類の打撃実験を考え、自分や兄の体で検証した。憧れのプロ野球選手に近づくため、頭も体も動かし日々練習に取り組んでいる。
野球における複雑な身体操作を分解し、要素ごとに究める分析力をもっている。ボールの握り方や投げ方、また打つ際の高さなどについて、自分の体を使って繰り返し検証したことに、野球と研究への熱意が見られる。また、自分だけの検証に満足せず、研究で導き出した投球時の足幅やボールを打つ高さなどの最適な条件について、体格の違う兄の協力を得て検証し、科学性を追究している。研究成果を活用し、チーム全体のレベル向上にもつなげてほしい。
小学3年生の時に人体図鑑を読み、心臓の構造、特に三尖弁に興味をもった。心臓病に苦しむ子どもたちがいる中、完全人工心臓がいまだ完成に至っていないことを知り、人工心臓につける理想の人工三尖弁と遠心ポンプ作りに粘り強く取り組んだ。人を助けたいという優しさを原動力に、情熱的に研究を続けている。
人工心臓の作製という困難なテーマに挑戦すべく、3年かけて専門書を読み解き、果敢に取り組む姿勢に感嘆する。人工三尖弁の素材や形状に関する検討と改良を続け、逆流しにくく、かつ血栓ができないモデルを考案した。研究の継続には多くの困難があっただろうが、研究に取り組む熱い想いと独自のアイディアを生み出す優れた発想力が、周囲の大人をも魅了し、人を巻き込む力を発生させている。研究をさらに深め、実用化につなげてほしい。
小学3年生で行った自由研究で、ダンゴムシが迷路を右、左と交互に進行方向を変えながら進む姿に驚き、興味をもった。ダンゴムシの交替性転向反応が起きやすい条件を調べるため、迷路の角度や構造、床の素材に着目し、自作した多くの迷路で粘り強く検証した。小さな生き物への愛情と細やかな観察力をもつ生物学者。
18の実験について、ダンゴムシの個体差を考慮し、10匹以上のダンゴムシで繰り返し検証したことで、信頼性の高いデータが得られている。生じた疑問を明らかにするためのプロセスが的確であり、論理的・科学的思考力が秀でている。ダンゴムシが左右交互に曲がる理由に関する説を検証するために考案した自作の迷路は、オリジナル性があり秀抜である。これからもダンゴムシと2人15脚で研究に取り組んでほしい。