富山市科学博物館 > ジュニア科学賞・とやま > 第21回[令和5年度]
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第21回「ジュニア科学賞・とやま」授賞式
(2024年2月16日 富山市科学博物館にて)
小学1年生の時に見つけたモリアオガエルに魅せられ、6年間、カエルの食べ物や体色、骨格、産卵、泳ぎ方などについて研究してきた。フィールドワークを活動の軸とし、生き物との出会いにワクワクしながら、日々新しい発見を楽しんでいる。手書きのイラスト入り白衣を着て、カエルや生き物の魅力、自然環境を守りたいという願いを多くの人に伝えている。
4年にわたり、モリアオガエルが冬眠から覚める4月下旬から7月中旬まで、繁殖地での野外観察を毎朝行い、情熱的にモリアオガエルの生態を探った。また、年間を通した飼育による生態観察も行っており、研究に対する強い意欲がある。豊富なスケッチや、8種類のカエルの泳ぎ方を自分で真似て特徴を明らかにした研究からは、優れた観察力とカエルへの深い愛情を感じる。今後も生き物や水辺環境の研究を発展させ、自然愛護の活動を続けてほしい。
小学6年生の夏、参加した講座でもらった立方体の紙風船。真剣に遊んでみると、角や辺を叩いた時に予想外な動きがあり、心惹かれた。一方で、動きの速さや耐久性が気になり、祖父母とも楽しく遊べるように、ゆっくり遠くへ飛ぶ、誰でも楽しめる紙風船の開発に取り組んだ。課題の核心を突く発想で、いつも周囲の人を驚かせている。
紙風船の形や大きさ、穴の大きさに着目し、飛距離と滞空時間が最も長くなる条件を鮮やかに解明した。中学1年生の時に作製した紙風船打撃装置を的確に改善し、精度のよい実験結果を得たこと、さらにそこから紙風船と最適な穴の大きさの相関関係に気がついたことに、着想のよさが感じられる。新たに生じた疑問を解決すべく、紙風船の穴から出入りする空気の流れを可視化したアイディアもユニークでよい。今後も優れたひらめきで、軽やかに高みへ舞い上がってほしい。
地元にある国の天然記念物「杉沢の沢スギ」で、小学1年生から生き物調査を行っている。毎月欠かさず観察するなかで、金色に光る水面を発見し、それが黄金色藻類の「ヒカリモ」であることを突き止めた。生き物全般に深い愛情をもち、真摯に自然と向き合っている。優しくも鋭い観察眼が、今日も輝いている。
「杉沢の沢スギ」の生物相調査を8年間続け、ヒカリモやニホンアマガエルの産卵に関する興味深い研究テーマを見出し、粘り強く追究した。積み重ねた観察記録を冷静に判断する姿には、優れた洞察力が感じられる。また、ヒカリモの人工培養の研究にあたっては、全国16か所のヒカリモの生育地を訪ね、その環境を調べるなど、フットワークのよさも際立つ。さらに研究を深め、ヒカリモの完全人工培養方法の確立へと邁進してほしい。