アキアカネ

 ようやく夏も終わり、いよいよ秋の訪れです。秋と言えばさわやかな空に無数に飛び交うアカトンボが思い起こされます。このアカトンボ本当の名前はアキアカネといいます。富山県ではアカトンボの仲間は12種類??知られていますが、アキアカネが一番よく見られよく知られているアカトンボです。昔はどこでも沢山見られたものですが、一時ほとんど見られなくなった時があります。最近はまた多く見られるようになりました。

平地では9月ごろから急に多く見られるようになりますが、実はアキアカネの成虫は6月ごろには既に羽化しているのです。6月に入って「アカトンボのようだが、黄色っぽいトンボがたくさん川の上流に向かって飛んでいる。」という電話が幾つかかかってきました。これはおそらく急に暖かくなったので羽化時期がそろったアキアカネが山の方へ移動していくところだったのでしょう。6月ごろ羽化したアキアカネは、その後山の高い所へと移動していき、たとえば立山などの高い山でもたくさん見ることができるようになります。山でエサをとり成熟したトンボは秋風の吹くころ赤くなって平地に降りてくるのです。秋に平地に降りてくる時に、時には大きな群れを作って人を驚かせることがあります。アカトンボの大発生などと騒がれるのが、アキアカネの秋の移動なのです。


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