「トンボ王国へようこそ」岩波ジュニア新書178 杉村光俊・一井弘行著 岩波書店 ¥600

 

 近年、水辺の生き物はどんどん減っている。タガメやゲンゴロウなどの大型水生昆虫はいうにおよばず、池や小川で飛び回り、また夕方には群飛し家の中まで飛び込んできたトンボ類もいつのまにか減ってきた。近く小川であんなにいたハグロトンボはどこにいったのだろうか、夏の夕方いつも家に飛び込んできたカトリヤンマはどこに消えたのだろうか。 杉村氏は、子供のころからトンボが好きで好きで、トンボが減ってゆくのを座視できず、仲間の人たちとともにトンボの保護をアピールし、ついには、高知県中村市にトンボ保護区「トンボ王国」を作り上げた。本書は、トンボ王国の紹介をするとともに、杉村氏の歩を記し、トンボを通じ自然環境保護を考えさせ、そして、あなたや私の「トンボ王国」があちこちに作られるよう訴える。

 


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