イラガの繭

 小さな鳥の卵のような硬い楕円形の物が、庭木の枝に付いているのを見たことがあると思います。これは、イラガという蛾の繭です。これを作る幼虫はシナンタロと呼ばれる、刺されるとたいへん痛い虫であるというとお判りになると思います。

 ヒロヘリアオイラガという同じイラガの仲間の繭もみつかります。公園の太い木の幹に付いているのを見つけました。こちらもシナンタロに似た、刺されると痛い幼虫が作りますが、ヒロヘリアオイラガは富山県にはつい最近登場したものなので、まだあまり広くは見られないようです。

 この2つは、同じイラガの仲間にもかかわらず、一方のイラガは、たいへん硬い繭をよく目だつところに作り、もう一方のヒロヘリアオイラガは、薄く柔らかい繭を目だたないようにつくります。これは、2種のイラガの、敵からの逃れ方の違いによるものでしょう。どちらを選ぶかは、その種によりますが、どちらもまずまず成功しているのでしょう。しかし、完全な成功でないことは、どちらも時に(おそらく鳥に)壊され啄まれていることでわかります。


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