カマキリ

 秋になると、庭木の上や公園の植え込みにいるカマキリの姿がめだちます。交尾、産卵の季節なのです。カマキリの交尾と言えば、カマキリのオスは哀れなものの代表のように世間では思われているようです。というのも、オスは交尾の後必ずメスにバリバリと食べられて子孫つまり卵の栄養になってしまうと信じられているからです。世の男性は自分の身に引き比べて無常を感じます。しかし、ある研究者の調査によると、カマキリのオスは為すすべもなく食べられるわけではなく、その大半は無事に逃げおおせるそうでご同慶の至りといったところです。その反対に、交尾するまえに食いつかれるものや交尾行動中に食べられるものもいるそうです。その場合には通常頭から食べられるので、オスに交尾衝動が高まりちゃんと交尾を遂行するのだそうです。オスの交尾行動の中枢は胸部以下の神経節にあり、頭部にはそれを抑制・調節する中枢があるのでしょう。食われるにしろ逃げるにしろ、交尾だけがオスの仕事なのです。


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