コオロギ

 秋も深まり、夕方にはもう肌寒い風が吹いてきます。夏の終わりのころから聞かれたコオロギの鳴き声もそろそろおしまいになるころです。皆さんはこの秋どんな虫の鳴き声を聞かれましたか。エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、オカメコオロギなどなど。エンマコオロギはコオロギの中でも一番よく知られたものでしょう。体も大きく、草地や庭でまた家の中にも入って来て、きれいな鳴き声を聞かせてくれます。「コロコロリーリー」と聞こえる声がそれです。ツヅレサセコオロギもよく聞かれるものです。エンマコオロギより小形で「リーリーリー」と続けて鳴きます。オカメコオロギの仲間は何種類かいますが、平地の草地で普通に見られるのはハラオカメコオロギです。オスの顔は平らで、ツヅレサセコオロギよりは小形.。顔が平らなのでオカメなどと呼ばれています。鳴き声は「リリリリ」と四声ほど続けて、一休みします。オカメに似たミツカドコオロギは、オカメと同様オスの顔は平らですが頭の上と目の下が飛び出ています。鳴き声はオカメによく似ていますがより鋭い感じがします。このようにコオロギも種類によって鳴き声が違います。今夜まだコオロギが鳴いている様でしたなら、注意して聞いてみましょう。

エンマコオロギの成虫は8月にはもう姿を見せますが、やはりおおくでてくるのは9月に入ってからです。成虫は結構長生きし、1〜2ヶ月は生きる様です。雌は長い産卵管を土中に突き刺して卵を産みます。一頭の♀で100個ばかり生みます。コロコロリーリーリーは本鳴き、けんか鳴きはキッキッキッ、ゆるやかな誘い鳴きの3つの鳴き方が有ります。

海岸には真っ黒なエゾエンマコオロギがリーリーリーと鳴いています。


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