マルハナバチはどんな蜂

 

マルハナバチはミツバチに近い仲間で、幼虫のエサとして花粉と花蜜を集めます。

体は大きく、全身にふさふさと毛が生えています。舌が長く、花蜜が奥に隠された細長い花や形の複雑な花からも花蜜を吸うことができます。そのような花には他の昆虫はあまり訪れませんので、マルハナバチが花から花へ花粉を運ぶ花粉媒介を引き受けています。

ツリフネソウやイカリソウのような花は、マルハナバチがいなければ花粉が運ばれず、タネができません。マルハナバチは自然界の中で大切な働き手です。

 

 富山県のマルハナバチ

富山県からは、現在9種のマルハナバチ類が記録されています。

平地や丘陵地では、クロマルハナバチ・コマルハナバチ・トラマルハナバチ、山地では、オオマルハナバチ・コマルハナバチ・ミヤママルハナバチ・トラマルハナバチ、亜高山・高山では、オオマルハナバチ・ヒメマルハナバチ・ナガマルハナバチ・ニホンヤドリマルハナバチが多く見られます。もう1種ウスリーマルハナバチは山地で少数が採集されているだけです。

 

トマトのハウス栽培で使用されているセイヨウオオマルハナバチ

セイヨウオオマルハナバチは、ヨーロッパ原産のマルハナバチです。

オランダやベルギーで、トマトのハウス栽培で花粉を花から花へと運ぶ花粉媒介に利用されていました。1991年から日本にも導入され、現在多くの個体が輸入され主にトマトのハウス栽培で使用されています。富山県でも1994年から導入され、富山市・高岡市・福野町のトマト栽培に使用され、農家の省力化や品質の向上に役立っています。

しかし、外国産のマルハナバチの日本への導入は当初から問題点が指摘されていました。

逃げ出して野性化・定着し、日本の在来のマルハナバチ類や在来のマルハナバチ類に花粉媒介されていた植物に大きな影響を与える可能性があるからです。

現在、日本在来のマルハナバチ類を利用する研究が行われており、数年の内には可能となるものと考えられています。

 

 野外で発見されたセイヨウオオマルハナバチ

1996年に北海道で、セイヨウオオマルハナバチの野外営巣が発見され、また、今年になってからも、本州各地で女王蜂・雄蜂・働き蜂が野外で発見され、野性化の可能性が大きくなっています。

富山県でも、1997年5月28日に、大山町粟巣野で働き蜂が発見されました。


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