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大田コレクション
--植物コレクション--
大田弘植物コレクションの概要
大田 弘(1915-1999)大正4年5月21日生
 コレクションは、大田弘先生が、富山師範学校の学生時代から今日までの60余年に亘って採集された9000点のさく葉標本からなっている。

 採取地は、ほとんどが富山県内であり、黒部峡谷や北アルプス北部、入善町や朝日町の丘陵地および水田地帯、大沢野町と細入村にまたがる神通峡、小矢部市倶利伽藍峠、氷見市などのものが多い。県外のものの多くも、岐阜県飛騨地方、新潟県西部、長野県北西部といった富山県に隣接した地域の標本で占められている。標本は、大田弘先生の植物地理学的研究あるいは自然環境保全に関する調査の過程で採集されてきたもので、それらの結果は多くの著作に残しておられる(大田,1947,1951,1967b,1980bなど)。これらの記録のうち、1970年代以降のものは、自然環境保全地域候補地やふるさと歩道の選定に関するものが多い。これらの指定には、大田先生が県内をくまなく歩かれた経験と知識の蓄積があってのものであるといえよう(表紙分布図参照gif;10K)

 標本は同一植物を複数枚採集され、田代善太郎氏をはじめ大井次三郎氏、林弥栄氏などに一部を送って同定指導を受けるために使われたり、植物の個体差が分かるようにも配慮されている。植物を同定するための図鑑類がほとんどない時代に植物分類に関する知識を吸収されるには、たいへんな苦労があったものと推定される。

 これらの標本は、富山県のみならず、従来研究が少ない日本海側の多雪地における植生を解明するためにも、欠かせないものである。

 標本は、一部のものが台紙にはりつけられていたが、多くは新聞紙の束のまま紐でくくられ、データは束の上に上書きされていた。同定のなされていたものは、個々の標本にデータとともにラベルが入れてあった。


住所
富山県下新川郡入善町椚山新302

略歴
昭和11年3月富山県師範学校卒
11年4月入善町、朝日町などの小学校に勤務
50年3月教職より退職

委嘱
富山県自然環境保全審議会専門委員
   〃      鳥獣部会長
   〃      委員
白山カモシカ調査委員会委員
北アルプスカモシカ調査委員会委員
富山県自然保護協会常任理事
富山県花と緑の銀行理事
立山ルート緑化研究委員会委員
富山県植物友の会会長
富山県椿同好会会長
富山県植物公園整備委員会委員
入善町文化財調査委員会副会長
入善町保存木委員会委員長

以上を歴任


富山市科学文化センター
最終更新 市川 2002.01.21.
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