富山市科学文化センター > OnLine図書室 > 収蔵資料目録 > 大田コレクション
大田コレクション --植物コレクション-- |
大田弘植物コレクションの概要 |
採取地は、ほとんどが富山県内であり、黒部峡谷や北アルプス北部、入善町や朝日町の丘陵地および水田地帯、大沢野町と細入村にまたがる神通峡、小矢部市倶利伽藍峠、氷見市などのものが多い。県外のものの多くも、岐阜県飛騨地方、新潟県西部、長野県北西部といった富山県に隣接した地域の標本で占められている。標本は、大田弘先生の植物地理学的研究あるいは自然環境保全に関する調査の過程で採集されてきたもので、それらの結果は多くの著作に残しておられる(大田,1947,1951,1967b,1980bなど)。これらの記録のうち、1970年代以降のものは、自然環境保全地域候補地やふるさと歩道の選定に関するものが多い。これらの指定には、大田先生が県内をくまなく歩かれた経験と知識の蓄積があってのものであるといえよう(表紙分布図参照gif;10K)。
標本は同一植物を複数枚採集され、田代善太郎氏をはじめ大井次三郎氏、林弥栄氏などに一部を送って同定指導を受けるために使われたり、植物の個体差が分かるようにも配慮されている。植物を同定するための図鑑類がほとんどない時代に植物分類に関する知識を吸収されるには、たいへんな苦労があったものと推定される。
これらの標本は、富山県のみならず、従来研究が少ない日本海側の多雪地における植生を解明するためにも、欠かせないものである。
標本は、一部のものが台紙にはりつけられていたが、多くは新聞紙の束のまま紐でくくられ、データは束の上に上書きされていた。同定のなされていたものは、個々の標本にデータとともにラベルが入れてあった。
昭和11年3月 | 富山県師範学校卒 |
11年4月 | 入善町、朝日町などの小学校に勤務 |
50年3月 | 教職より退職 |