子ぶり石 |
NO.222
石川県の輪島や七尾に行くと、みやげ物店などで時々図のような奇妙な形をした1cm〜数cmの石を売っていることがあります。色は白〜黄味がかっていて、特徴的な溝やくびれが見られます。
地元では、赤ちゃんが生まれる前のお母さんのお腹を想像して「子ぶり石」とか「子振り石」、仏様や観音様に見立てて「仏石」とか「菩薩石」などとも呼ばれています。その他にも色々な動物などに見立てる人もいます。本当に見れば見るほど奇妙な形をしていて、自然の造り出す形の不思議さにいつまで見ていても飽きません。
この石については、安永2(1773)年〜亮和元(1801)年に出された木内石亭著の「雲根志」という本に「菩薩石」として紹介されたのが初めてのようです。鉱物としては、蛋白石(化学組成はシリカ=SiO2)で、図鑑などでは「珪乳石」と書いてあるものもあります。子ぶり石を含む地層は、第三紀中新世(今から 1,500万年程前)の珪藻というシリカの殻をもった1mmの10分の1以下程の大きさのプランクトンが堆積してできたものです。
一体、この奇妙な形の「子ぶり石」はどのようにしてできたのでしょうか? 「子ぶり石」のでき方について書いてある書物は、いろいろ捜しても見つかりませんでした。でき方については、まだあまりわかっていないようです。
このような不思議な現象は、自然の中にたくさんあります。あなたも「不思議さ」を見つけてみませんか?
「子ぶり石」は今月から10月末までの予定で、科学文化センター2階のロビーに展示しています。自然の造形の不思議さに触れて、どのようにしてできたのか考えて見て下さい。そして、いろんなアイデアをお聞かせ下さい。一緒に考えてみましょう。
(赤羽久忠)
1996.09.01
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