今月の話題(化学)
台所は実験室「じゅうそう(重曹)で遊ぼう」

No.226

 皆さんはラムネ菓子が好きですか? ラムネ菓子は口の中で泡を出しながら溶けていきます。この泡は炭酸飲料の泡と同じ炭酸ガス(二酸化炭素)の泡で、口の中がさわやかな感じになります。この泡は、じゅうそうという粉から出てきたものです。ラムネ菓子はじゅうそうとレモンやミカン、ブドウの中に入っている酸の粉、そして、砂糖を混ぜてかためたものです。これを口に入れると、酸の粉がだ液に溶け、じゅうそうから炭酸ガスの泡を出させるのです。これと同じしくみは泡の出る入浴剤でも使われています。しかし入浴剤は食品ではないので口には入れないようにしてください。今回はじゅうそうから炭酸ガスを泡にして出させる遊びを紹介します。

遊び方

  材料:じゅうそう、酢かレモン汁、コップ、洗面器を用意してください

 注意)ふたや栓のついた容器は絶対に使わないでください。中の圧力が大きくなってはれつし、ケガをする事があります。

 遊び方1:

 1 スプーン半分から一杯ほどのじゅうそうをコップに入れ、水を半分ぐらいまで入れて溶かします。

2 じゅうそうが溶けたら酢かレモン汁を少し入れます。コップに酢かレモン汁を入れると、たぶん皆さんが大好きな炭酸飲料と様子が似てくると思います。でも、これは実験なので飲まないようにしてください。

  遊び方2:

1 洗面器の真ん中にコップを置き、コップの中にじゅうそうをスプー

ン2杯ほど入れます。

2 酢かレモン汁をじゅうそうに直接かけます。

こんどは白い泡がもり上がるように出てくると思います。

じゅうそうの利用
 じゅうそうから出る炭酸ガスの泡はラムネ菓子や入浴剤以外にもいろいろなところで利用されています。例えば、ベーキングパウダーとしてイーストなしでパンを焼くときにパンの中のスポンジ状の穴を作るために少し混ぜて使います。さらに、火事の時に使う消火器にもじゅうそうの泡が使われています。例えば、普通火災に使われる酸アルカリ消火器では中に入っている水を押し出すため、じゅうそうの粉と硫酸が混ざらないようにガラス容器に入れてあります。消火器を使うときは中のガラス容器をピンで壊してじゅうそうに硫酸を混ぜ、炭酸ガスの泡を出させて容器の中の圧力を高くし、消火器の中の水をノズルから飛ばします。このときの消火器の中の様子は遊び方2のようになっていると思います。 じゅうそうのいろいろな使い方をちょっと考えてみませんか。


(朴木英治)

解説
 じゅうそうは重炭酸曹達(じゅうたんさんソーダ)を縮めた名前で化学名は炭酸水素ナトリウムです。じゅうそうは水に溶けるとアルカリ性を示しますが、酸と混ぜると炭酸ガスの泡が出てきます。スーパーの調味料などのコーナーにおいてあると思います。


1997.01.01

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