恐竜は生きている
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NO.221
富山市科学文化センターでは、7月18日から10月7日まで特別展「富山の恐竜時代を歩く」を開いています。この特別展では、世界の恐竜や富山県を含め日本で最も恐竜化石が出てくる北陸地方の恐竜時代のようすを紹介し、恐竜についてより深く関心を持っていただきたいと思っています。 ところで、「実は、恐竜は姿を変えて今私たちの目の前に生きているようですよ」とお話ししますと、どなたも驚かれます。しかし、そのことに現在世界の恐竜研究者が大きな関心をよせているのです。
6500万年前の大絶滅 |
では、地球上に繁栄をした恐竜が、なぜいなくなってしまったのでしょうか。
その原因として、病原菌によるもの、食物の中毒によるもの、氷河が発達し気候が変わったことよるものなど、古くからさまざまなことが考えられてきました。
最近は、いん石の衝突かあるいは火山の噴火によって、気候が大きく変わったことが原因としてあげられています。それは、いん石や地球内部の物質に多く含まれるイリジウムとよばれる金属が濃集した層が、6500万年前の地層の中に発見されたからです。いずれにしても、急激な自然環境の変化のために恐竜たちがすめなくなり、姿を消したとされています。
恐竜は生きている
では、本当に6500万年前の自然環境の変化を乗り越えて生き延びた恐竜はいなかったのでしょうか。そのことを明らかにするために、今注目を浴びている動物が鳥類です。
現在最も古い鳥である始祖鳥は、1860年代前半にドイツ南部で、今から1億6000万年前の地層から発見されました。その時、始祖鳥は羽毛の印象が残っていたことから鳥類と同定されました。しかし、始祖鳥の骨格だ
けを見ると、頭や足の指などの骨や歯は、獣脚類とよばれる恐竜のつくりと良く似ているのです。羽毛の印象がなければ、恐竜の獣脚類と同定されるほど良く似ています。
また、7500万年前に北アメリカにいた獣脚類である、トロオドンとよばれている恐竜の頭の骨や歯の特徴が、この頃にいた原始的な鳥類と良く似ていることなども分かってきました。
このほかにも恐竜と鳥類を結びつける証拠はたくさんあります。今後、さらに化石の証拠が豊富になってくることで、恐竜と鳥類とのつながりがますます深くなっていくことと思います。
このように、現在私たちのまわりにいる鳥たちは、6500万年前の絶滅を乗り越えて現在繁栄をしている、「姿を変えた恐竜たち」なのかもしれないのです。
(後藤道治)
1996.08.01
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