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今月の話題:No.4

かみなり

あなたの頭の高さの所と地面との間には100ボルトほどの電圧がかかっていると聞けば、びっくりするでしょう。でも、これは晴れた日の大気のごく普通な状態なのです。それにしてもなぜビリッと感じないのでしょうか。それは、空気にはほとんど電気の運び手(イオンや電子)がなく、電圧がかかっても電流が流れないからです。

雷は、この電気の運び手のないところに無理やり運び手をつくりだして電気を流してしまう現象なのです。この時、あの大きな音と不気味ないなずまが発生します。

ところで、いなずまは、なぜ一直線におりて来ないでジグザグの道をたどるのでしょうか。それは、雲と地面の間にはいっきょに電気を流す程の電圧がないからです。1cmの間で雷のような電気火花をとばすのにも数万ボルトの電圧がいるのです。

それでは、雷はどのようにして地上へおりてくるのでしょうか。

雷は雷雲の下部のマイナスの電気の多いところからはじまり、電気の道をつくりながら少しずつおりて来ます。電気の通りやすいところを選んで50〜100m行っては一休みし(2万分の1秒)再び50〜100m行っては一休みするということをくりかえしながら地上に達します。この時の電気の道は、雲から枝分かれをしながらジグザグに走りおりるいなずまとなります。

こうして、電気の道が雲から地上まで一つにつながった瞬間、雲と地上の間にある100〜200万ボルトの電圧のため電気がいっきょに流れ去ります。同時にはげしいなずまが地上から雲に向かって走り上がります。

しかし、多くの場合これで終わるのではなく、今度は再び雲からほぼ前と同じ道をたどってマイナスの電気がいなずまをともなって地上へかけおり、地上に着いた瞬間に地上からいなずまが走り上がっていきます。

この間は、わずかに100分の数秒です。もちろん私たちには一回の落雷としかうつりません。雷の中には、一回の落雷に数回の電気のやりとりをするものもあります。

このようにして、地表と雲は雷を通して電気を交換するのです■

文:石坂
発行:昭和53年7月


富山市科学文化センター
作成 八田 2001.9.24.
最終更新 市川 2001.12.27.
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