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今月の話題:No.5
北太平洋西部の熱帯で発生する低気圧(熱帯低気圧)のうち、最大風速が毎秒17.2メートル以上のものを台風といいます。
この熱帯低気圧は発生した場所によって呼び名が違い、カリブ海周辺ではハリケーン、インド洋ではサイクロンと呼ばれています。日本に台風が近づくのは、ほとんど8月から9月にかけてです。ところで、ふつう台風はどういう進路をとるのでしょう。
台風は、だいたい北太平洋高気圧のまわりの空気の流れに沿って進む傾向があるので、初め西へ向かっていたものが、途中で進路を北ないし東へ変えるようになります。このことを転向といいます。しかし、シベリア低気圧の影響が残っている6月や南下してくる10月末から11月にかけては、転向しないでそのまま西へ進むことが多いようです。
北太平洋高気圧は、春から夏にかけて北上し、夏から秋にかけて南下します。7月から8月頃の台風の進路と10月から11月にかけての転向した台風の進路を比べると、北太平洋高気圧のはりだしの違いがよくわかります。ところで、夏にはたまに迷走台風といってジグザグした異常な進路をとる台風もありますが、これは、上層の大気の流れが弱くて乱れているときになるようです。■
発行:昭和53年8月