富山市科学文化センター > OnLine図書室 > 今月の話題 > No.8


今月の話題:No.8

霜の話

風がない冬の晴れた朝に、道路や自動車が霜でまっ白になっているのを見たことがあるでしょう。また、道ばたに長くつき出ている霜柱を踏みつぶして歩いたこともあるでしょう。

夜になると地面が冷えやすいので、その付近の空気より温度が低くなり、そのため地面近くの空気が熱をうばわれます。そして,その空気が露点以下になると、水蒸気の一部が気体のままでいることができなくなり、道路や自動車に露が付着します。さらに冷えると露が凍って霜ができるのです。また、気温がもっと低い状態が長い間続くと、別のしくみで霜ができます。それは氷晶という小さな氷のつぶのまわりに水蒸気が集まって、成長し霜ができるのです。このように気体が直接固体になることを昇華といいます。この場合は露の段階をへないで直接水蒸気(気体)が霜(固体)になるのが特徴です。このときは、針の形や四角柱、六角柱や羽毛状などの結晶ができます。冷蔵庫にできる霜や窓につく霜(窓霜)も上と同じく昇華によってできるのです。下の図には冷蔵庫の霜の結晶です。一度ルーペで観察してみましょう。他にどんな形の結晶があるか調べてみましょう。

ところで、霜柱は霜とちがったでき方をします。霜柱は長いもので10cmぐらいにもなります。気温が低い時に地中の水分が凍って、体積が膨張して伸びるのです。その水分は、土の中の毛管現象によってつぎからつぎと補われます。このようにして、霜柱は土の中の水分が地表面近くから凍って上へ上へと伸びてゆくのです。

晴れた日に霜柱ができやすいのは、地面からの熱放射が雲によってさえぎられることがなく、くもった日より温度が低くなるからです。また、風がある日に霜ができにくいのは、地表の冷たい空気が吹きとばされたり、空気がかき回されて結晶の成長ができにくいからだと思われます。■

文:黒田
発行:昭和53年11月


富山市科学文化センター
作成 樽政 2001.9.24.
最終更新 市川 2001.12.27.
Copyright(C)1997-2001 Toyama Science Museum, TOYAMA (JAPAN) All rights reserved