富山市科学文化センター > OnLine図書室 > 今月の話題 > No.9
今月の話題:No.9
これは冬の星座・おうし座にあるかわいらしい星団の名前なのです。西洋出端プレアデスと呼んでいます。
ギリシアのプレアデス神話によると、天をささえている巨人アトラスとプレイオーネの間には七人の美しい娘がいました。ある月の美しい夜、森の草原で娘たちが踊っていると、猟師のオリオンが現れたわむれたので、月の女神アルテミスに助けを求めたところ、女神は娘たちをハトに変えて天へにがしてくれ、空へ昇った娘たちは七つの星になったと伝えられています。
冬の星座を眺めますと、東の地平線上には雄大なオリオンが手をふりかざして昇っています。それからずっと高い空にプレアデス星団が小さな星のかたまりとして見えており、神話を思い浮かべて眺めてみると情景が良く浮かんできます。プレアデス星団は、普通6個しか見えませんが、空のすんでいるところで、特に目の良い人が見ると、十数個の星が数えられるといいます。皆さん方もいちどいくつ見えるか数えてみるとおもしろいでしょう。
この星団を美しく見るためには、双眼鏡を使って見るとよいでしょう。視野いっぱいに散らばった100個近くの星が、星団をつつむ薄いガスによって、うるんだようにまたたいていて、他の星にない特別な美しさを持っています。プレアデス星団は私達から410光年のところにあり、天文学的にはまだ誕生して間もない若い星の集団で,生まれてから8000万年ぐらいと考えられています。私達の太陽は生まれて50億年ぐらいですから、いかにプレアデスが若いかわかります。
この星団の日本名「すばる」の由来は、集まって一つになる、という意味と、大昔の貴族が首につけた玉かざりの「スマル」だろうという説あります。この他に「ごちゃごちゃ星」とか「六通星」などいろんな呼び方があります。みなさんの家のおじいさん、おばあさんはどんな呼び方をしていたのかきいてみてください。■
発行:昭和53年12月