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今月の話題:No.10
今月はひつじの名のついた動物や植物について紹介しましょう。
日本のヒツジの大部分は羊毛をとるためのコルデールという尾の短い品種です。しかし、ヒツジには尾が太くて長い脂肪羊とよばれる仲間がおり、中国にいる寒羊も脂肪羊の一種です。それではこの尾の由来についてお話しましょう。
現在の脂肪羊の先祖は、西アジア地方にいるアルカールという野生ヒツジといわれています。野生ヒツジは粗食に耐え、乾燥にも強いことから、その昔このヒツジといっしょに移動して、その皮や肉や乳や脂肪を利用する遊牧民が西アジア地方にあらわれました。肉や脂肪をなるべくたくさんん取る方がいいわけですが、ウシやブタのように太らせては移動の時に不便です。そこで長い尾を持つヒツジを改良して尾に脂肪がたまるようにし、活動に向くようにしたのです。これが脂肪羊の由来で、このヒツジは遊牧民にとって理想的な家畜となったのです。
日本のヒツジは明治時代に輸入され飼育されるようになりましたが、この時いっしょに入ってきたのがヒツジバエとうハエで、現在も北海道にいます。このハエはヒツジの鼻の粘膜などに寄生して鼻炎の原因となりきらわれています。成虫は鼻孔近くに幼虫を産みつけますが、幼虫は鼻腔に入って住みつき、8〜10ヶ月位で大きくなり、くしゃみといっしょに外に出て行きます。幼虫は土の中で蛹になり1〜2ヶ月くらいで成虫になります。
ヒツジの食べる草かと思われるかもしれませんが,これはスイレンの別名で未の刻、すなわち午後2時頃に花がさくのでこの名がつきました。7〜9月頃直径5cmくらいのうすいピンクの花をさかせ、約3日間開いたり閉じたりします。池や沼にはえる多年草で東アジアやインドにも分布しています。富山県にも自生していますが、近年少なくなりました。
ひつじの名のつくものには、ひつじぐも、おひつじ座などがあります。一度名前の由来など調べてみましょう。■
発行:昭和54年1月