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今月の話題:No.14
リーフレットNo.2(昭和53年5月発行)では、太陽のエネルギーが地球上に雨や風を生じさせ、結局は大地を平らにする働きをしていることについてお話ししました。
今回は、反対に、大地におうとつをつくる働きについて考えてみましょう。
地形の高まりは、火山が噴火したり、大地がもり上がって山脈が形成されることによってできます。このように、地表に高まりを作る作用は、何が原因しているのでしょうか。そのエネルギー源はどこのあるのでしょう。
昔は、高温のドロドロに溶けた状態であった地球が冷えていくとき、地下でまだかたまっていないマグマが吹き出したものが火山で、地球全体が冷えていく過程で、地球がちぢむことによってできた「しわ」が山脈であると考えられたこともありました。しかし、現在は、地球の内部に熱を発生する物質(放射性元素)があって、その発熱(崩壊熱)によって、一方ではマグマができたり、他方では山脈としてもり上がるのだと考えられています。
地球内部に源をもつエネルギーが地表におうとつをつくる一方、太陽に源をもつエネルギーが山々を削りとって地表を平らにしています。
この二つの作用が私たちの住む大地の形を決定しています。日本列島やアルプス・ヒマラヤなどの地域は、全体として地球内部にエネルギーの源をもつ変動がはげしく、その結果、山々は高くて険しくなっています。一方、大陸の中央部の地形は、みなさんが西部劇の映画をみたときのように、広大でなだらかな場合が多いのです。これは、長い間大地の動きがほとんどなく、その間太陽エネルギーがその地域を平らにするように働きつづけてきたからなのです。
“大地は平らになるか”
それは、地球内部にある放射性元素による崩壊熱がなくなってしまわない限り無理といえるでしょう。■
発行:昭和54年5月