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今月の話題:No.19

消える?! 土星の環

皆さんは土星を見たことがありますか。小さな望遠鏡でも見える環の美しいものです。

土星を最初に望遠鏡で見たのはガリレオです。この時、ガリレオは土星に取手がついていると思ったそうです。ガリレオが望遠鏡で観察を続けていると、日がたつにつれてその取手が小さくなることに気づきました。そして、翌年には見えなくなってしまいました。キツネにばかにされたような気持ちで、なおも観察を続けると、1年余りたって、取手が見え出してくるではありませんか! ガリレオは「人をばかにしている! こんな悪魔みたいな星なんかもう見るもんか。」 そう言って、二度と土星を見なかったそうです。では、なぜこのような変化が起こったのでしょうか?

土星は、太陽のまわりを約30年で1まわりします。そのようすを地球から見ていますと、図のように、環の北側が見えたり、南側が見えたりします。しかし、そのちょうど中間の時期には、環を真横から見ることになり、また、土星の環は非常に薄いため(幅5万kmに対し、厚さ数km)環は見えなくなってしまいます。今年の10月27日が、ちょうどこの時期にあたります。来年もこの現象は2回見られます。この時期の環は、世界で最も大きな望遠鏡でのぞいても見ることはできません。環が見えない時には、日ごろ環が明るくてじゃまになって見えなかった現象が発見されるかもしれません。事実前回環の見えなくなった1966年には、新しい衛星が発見されています。この9月にパイオニア11号が発見した衛星についても新しいことがわかるかもしれませんね。■

文:渡辺
発行:昭和54年10月


富山市科学文化センター
作成 藤田 2001.9.24.
最終更新 市川 2001.12.27.
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