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今月の話題:No.22
理工展示室の中央に、決まった道を行ったり来たりしているY字形のひもにつるした鉄のおもりがあります。これが、これからお話しするY字形ふりこです(図1)。展示室に説明書きがないため、これを見て“下の金属のレールに磁石があって、それがこのふりこを動かしている”といったような何かしかけがあるのではないかと思われる方も多いようです。じつは、このレールは、道すじをわかりやすくするためのもので、何もしかけはありません。しかけといえるものは、ふりこが折り返すところにつけた磁石だけです。これは、ふりこを長い間ふらしておくと、しだいにふれが小さくなって、最後には止まってしまうので、折り返そうとする時に磁石に引きよせて、ふれをいつも一定にしておくものです。
さて、Y字形ふりこは、どのような運動をするのでしょうか。まず、ひもがたるまないようにしてA方向にふらしてみます。ふりこは、Y字の下の部分のみがふれます。点Cは動かさず長さがlAのふりこと同じ運動をします。次に、それと直角のB方向に動かすと、ふりこは、ま横から見ていると、長さlBのふりこと同じ運動をすることがわかります。つまり、前後(B方向)に長さlBのふりこのようにふれながら、Yの字の下の部分が、それとは直角の方向(A方向)に長さlAのふりこのようにふれているのです。lAとlBの長さを変えることによってY字形ふりこは、さまざまな動きを見せてくれます。■
発行:昭和55年1月