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今月の話題:No.28

波力発電

地中海に面した国モナコの国王レーニエ3世は、ヨットに乗っていて、「私のからだをこんなに揺らせる波の力をなんとか利用できないものだろうか」と言ったということです。たえず上下運動をくり返す海の波。このエネルギーを電気に変えることができれば、燃料費もいらないし、エネルギー源としては尽きることもないので、魅力的です。まわりを海で囲まれたイギリスでは、百年も前から研究されているということです。日本でも、昭和39年に、世界ではじめて、釧路港の航路標識ブイの電燈を、波の力でともしました。

発電のしくみは、下の図のようになっていて、波が上昇する時も、下降する時も空気の流れを同じ方向にするように弁を取り付け、その空気の流れる力で、タービンを回し、これに連結されている発電機で電気を起こすのです。

現在、日本でこの原理を応用した発電装置を使って、本格的に電気を起こす実験がなされています。それは、昭和49年から行われた海洋科学技術センターでの水そう実験を終え、昭和53年8月から、山形県の由良海岸沖で「海明」と呼ばれる船のような形をした大型の波力発電装置による実験です。

この装置は、電気を起こすと同時に波をしずめる効果があるので、この面でも、今後の海洋開発に大きな役割をはたすことが期待されています。将来は、このような波力発電装置が海洋上にたくさんならび、波をしずめながら離島などに電気を送るようになるかもしれません。

理工展示室「はたらく水」のコーナーにある波力発電実験模型はボタンを押すと、波の上下運動が発生します。波の上下運動と弁の動きを観察しましょう。■

文:黒田
発行:昭和55年7月


富山市科学文化センター
作成 樽政 2001.9.24.
最終更新 市川 2001.12.27.
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