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今月の話題:No.31
科学文化センターの1階レファレンス室の前に衛星写真ファクシミリ受信機があります。この受信機は、毎日午後2時ごろになると、日本とその周辺の「ヒマワリ」衛星写真を気象庁から受信しています。今回はこのひまわりについてお話ししましょう。
日本の天気を予測するには、日本をとりまく広い地方の気象のようすと、その刻々の変化を知る必要があります。このひまわりが誕生する以前から、各地の気象台、定点観測船、富士山の800kmレーダーなどによる観測から天気の予報が行われていました。しかしこの観測も陸地にかたよりがちで、広大な海をカバーすることは困難でした。
このような時、国連の世界気象機関(WMO)で、地球を気象衛星の目でおおう世界気象監視計画が作られ、製紙衛星を5個(日本1個、アメリカ2個、ソ連1個、ヨーロッパ1個)打ち上げることになりました。静止衛星というのは、地球に対していつも同じ位置にある、つまり24時間で一周する衛星のことです。決して空中で静止している衛星のことではありません。
そして、1977年7月14日、アメリカのケープカナベル発射場から、ひまわりをのせたロケットが打ち上げられ、東京の真南、統計140度の赤道上空35800kmの静止軌道に乗りました。
このひまわりには、安定を保つために、自分自身で1分間に100回回転していますが、この回転を利用して地球の表面を走査して映像を作っています。ちょうどテレビで画面をつくる方法と似ていますが、この映像をつくる機械は走査放射計と呼ばれています。
ひまわりの仕事は、今述べたような地球の写真撮影や、気象データの収集ばかりではなく、宇宙の陽子、α粒子、電子の数を観測してそのデータを送ってきたりもします。
朝や夜の天気予報ですっかりおなじみになった「ひまわり」。これからもわたしたちに貴重な気象のデータを届けてくれることでしょう。■
発行:昭和55年10月