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今月の話題:No.32
今月は科学文化センター理工展示室にある「LSI」についてお話します。
最近、テレビや新聞の広告によく出てきますが、これはLarge Scale Integration(大規模集積《回路》)の頭文字をとったもので、集積回路(IC)を大規模にしたものです。(ICはIntegrated Circuitの略)
図1のような形をしたものが多いようです。これは、LSIのケースの部分で、中身は中央にあり、大きさはおよそ5ミリ角、厚さが0.2から0.3ミリのシリコン(ケイ素)片です。この小さなシリコン1片の中に、電子回路で重要な働きをするトランジスター、ダイオード、抵抗などが1万個も作り込まれています。そしてそれらは、内部でお互いに配線によって結ばれていて、全体として一つの電子回路としてのはたらきを持っています。要するに、今までトランジスターなどの部品を一つずつ配線で結び合わせて一つの回路をつくっていたのを、まとめて同じにつくりこんで1個の部品としたのが集積回路で、その部品の数が1万個を超えるものがLSIというわけです。
展示室の顕微鏡をのぞくと、白っぽい模様が見えます。これが配線がつくりだした模様です。この配線の幅の細いところがだいたい百分の一ミリ程度、その下にトランジスターが、百分の数十ミリ角の中に1個おさまっています。(図2)
まず、電子機器が小型になりました。また、LSIは1度にたくさんつくることが可能なので、複雑な割に安くできます。さらに重要なことは、故障の割合が小さくなったことです。表1に示したように、部品の数が増えると、中に一つ寿命の短い部品を含む可能性が高くなり、その部品の為に全体も動かなくなり故障する割合が高くなります。この点LSIは、1万個の部品で同じものをつくった場合とは、くらべものにならないくらい故障が少なくなります。もしLSIが出現しなかったら、コンピューターも宇宙ロケットも、故障続きで使い物にならなかったでしょう。■
発行:昭和55年11月