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今月の話題:No.34
ウラジロは、シダの仲間です。葉の裏が白いのでこの名前がつきました。科学文化センターの自然史展示室の入口にある照葉の森にも生えています。生えているといっても本物そっくりの模型です。
照葉の森に生えているように、ウラジロは暖かい地方の植物で、日本海側では新潟県まで分布しています。南の暖かい地方では、高さが2mにもなり、大きな群落を作るので、遠くからでも目につきます。
大きな葉が群がっているので諸向きともいいます。葉の柄は、褐色で太く、これで箸を作ったり、籠をあんだりしています。富山に生えているものは、高さが50cm位で、しかも数が少なく、また、目印となる白い部分が葉の裏側なので、なかなか目につきません。しかし、葉はほかのシダに比べてこわく表面がやや光っているので、見なれた人にはすぐわかります。
富山では、県内の低い山に生えているのを時々見かけます。今までに見受けたところは、氷見、小矢部、小杉、八尾、五百石、上市、滑川、魚津、黒部、朝日などですが、このほかにも生えているはずです。呉羽山にも生えています。寒さに弱いので、冬の寒風が直接当たらないような林の中やふちに生えています。やや乾燥したところを好みます。
普通、シダといえば、シダの仲間全体をいいますが、特にウラジロだけを指すことがあります。ウラジロは枝のような葉の柄を地下茎から伸ばし、先端で2つに分かれた葉(葉身)をつけます。春になると、2つの葉身の分かれ目から、芽を伸ばして再び2つに分かれた葉身をつけます。これを、毎年くりかえして、だんだん背が高くなるので歯朶(シダ)と書きます。「歯」は年を、「朶」は枝を表しています。年々、新しい枝を伸ばすというウラジロの特徴をよく表しています。
お正月のしめ飾りに、ウラジロを使うのは、歯朶にあやかって、年々、年を延ばしたいということなのでしょう。
また、ウラジロの白さは、白髪の生えるまで、長生きしようということにもつなっがっているようです。■
発行:昭和56年1月