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今月の話題:No.38
5月は田植えが始まり、水田が活気づく季節です。水田に水を運ぶ小川の水量も多くなります。富山平野の春の小川にはどんな魚がみられるでしょうか。富山市浜黒崎一帯の小川をのぞいてみましょう。富山湾に面している浜黒崎の小川には、平野の中央部の小川とは違った魚がみられます。その代表は、春に産卵のため海から上ってくるイトヨです。今年は、3月下旬にはすでに群をなして泳いでいるのがみられました。イトヨは、背びれや腹びれがとげ状に変化したトゲウオのなかまで、オスが川底に水草の破片を集め、円筒状の巣をつくることで有名です。オスの体色は、普段緑っぽいかっ色をしているのですが、このころになると、腹が赤くなり、背は青くなります。これを婚姻色と呼びます。
表層で群をなして泳いでいるのはメダカです。名前の通り、目が上につき、突き出しています。成長しても3cmくらいの大きさにしかなりません。飼育が簡単で、20〜30℃で飼うと、年中産卵するため、生物の実験材料としてよく使われます。
大きな川の下流や池、沼などどこにでもみられ、浜黒崎でも例外なくみられるのがフナです。富山県には、体色が金色のキンブナ、黒っぽい銀色のギンブナ、びわ湖から移入され全国各地で増えている体高の高い銀色のゲンゴロウブナの三種がみられます。ギンブナは、オスが極めて少なく、メスだけで繁殖する変わったフナで、富山での比率は1:1といわれ、浜黒崎では、このギンブナが多いようです。
小川の川底は泥が多く、泥の中にもぐって生活しているのがドジョウです。時々水面に上ってきて空気を吸い、しりからあわを出しているのが観察できますが、これはえらの外腸でも呼吸しているからです。
川底を網ですくうと、オタマジャクシと間違いそうな魚がとれることがあります。これは、最近ではあまりみかけなくなったナマズの幼魚です。大きな顔に小さな目、口のまわりに2対のひげがあり、愛嬌のある顔をしています。みなさんも、自分の家や学校のまわりの小川にどんな魚がすんでいるか調べてみてください。■
発行:昭和56年5月