富山市科学文化センター > OnLine図書室 > 今月の話題 > No.41
今月の話題:No.41
磯の転石の裏や海藻のすきまにはヤドカリがたくさんすんでいます。ヤドカリは、磯の動物の中でも最も人気のあるもののひとつですが、その行動や生活のようすを調べるともっと面白いことがわかるでしょう。
ヤドカリという名は「宿を借りる」というところからきていて、巻貝などの貝を自分の家として利用しているのですが、ときにはよいすみかをめぐって仲間どうしけんかをすることもあります。
ヤドカリはエビやカニと同じ甲かく類ですから、体は甲ら(外骨格)でおおわれています。そのため甲らをもつものの宿命として体が大きくなるたびに脱皮(だっぴ)を行う必要があります。そして体が大きくなっても、殻は大きくなりませんから、ときどき殻を、より大きなものにかえる必要があります。引っ越しのときはかなり慎重で、ハサミで殻の入口の大きさを測って、よしとなれば、すばやく新しい殻に移ります。
ヤドカリのなかま(異尾類)には殻に入らないで、まるでカニのような形のものがあります。カンヅメで有名なタラバガニや北海道名物のハナサキガニをはじめ、磯の石の下などにすんでいるカニダマシのなかまもヤドカリのなかまです。彼らは最後の足が小さく、一見したところ六本足の用に見えます。
ヤドカリは、比較的飼いやすい動物で人工海水(食塩水ではない)で、よく育ちます。エサも生の魚の切れはしやご飯つぶも食べます。ただ露店で売られているオカヤドカリは奄美大島から南にいる陸上のヤドカリで野菜の切れはしなどで飼うことができます。■
発行:昭和56年8月