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今月の話題:No.43

埋没林

去年の夏以来、入善町吉原の沖合の海底で発見された埋没林のニュースがテレビや新聞で報道されました。みなさんの家でも、茶の間の話題になったことでしょう。今回は、富山湾で見つかった世界最古の埋没林についてのお話をしましょう。

―どの位の深さにあったか?―

この埋没林が初めて発見されたのは、昨年(昭和55年)の春で、場所は、吉原海岸の沖合500m、海面下40mのところでした。その後の調査で、海面下40mぐらいから20mぐらいまでにわたって100本以上の埋没林が見つかっています。

―どんな形で見つかったか?―

20m〜40mの海底には、倒れていた木もありましたが、いくつかは、図のように木の切り株のような形で垂直に海底から生えていたのです。木の種類は、大部分がヤナギやハンノキでした。

―いつごろの木か?―

この木の生きていた時代を知るため、海面下40mの埋没林を炭素14を用いて年代測定をしました。その結果は、何と、今から1万年あまり前に生きていた木が埋もれたものであることがわかりました。このことは、1万年あまり前に陸上に生えていた木が水に没して、現在海面下40mで発見されたということになります。

―どのようにして埋もれたか?―

今から2万年ぐらい前は、最後の氷期、ウルム氷期の最中で、海水面は現在より100m以上も低かったといわれています。その後徐々に暖かくなるに従って、氷河の溶けた水が海へ流れ込み、海水面が徐々に上昇して現在のようになったと言われています。今回の発見は、少なくとも1万年あまり前には、海水面は今より40mほど低かったということを示しています。そして、いろんな深さの埋没林の年代測定を行えば、海面が徐々に上昇した様子がくわしくわかってくるかも知れません。

富山市科学文化センターでは、来年春から埋没林に関する特別展を行う予定です。その時は、これらのことがもう少し、くわしくわかっていることでしょう。■

文:赤羽
発行:昭和56年10月


富山市科学文化センター
作成 奥野 2001.12.27.
最終更新 市川 2001.12.27.
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