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今月の話題:No.44

北陸のかみなり 「かみなり」その2

北陸では、冬でもよく「かみなり」が発生します。私たちは、それを「ぶりおこし」とか、「雪おこし」とか呼んでいます。石川県の河北潟では、ロケットを「かみなり雲」の中へ打ちこんで、この「北陸のかみなり」を調べています。その結果、「北陸のかみなり」には、プラス電気のものが多いことがわかりました。これは、日本では河北潟だけで観測された珍しい現象です。

さて、プラスの「かみなり」ということを少し説明しておきましょう。

普通「かみなり雲」では、雲の上方がプラスの電気、下方はマイナスの電気が分布しています。下方のマイナス電気は、地上(地表)へプラスの電気を呼び寄せます。さらに、雲の中で電気がたまりますと、雲と地上との間の電圧が高まって、普段はほとんど電気を通せない空気に電気を通す道ができてしまい、「かみなり雲」の下方のマイナスの電気が、その道を下って地表に達します。これが「かみなり」という現象です。そして、マイナスの電気が下ってきますから、マイナスの「かみなり」ということになります。

 

ところが、河北潟の場合は、マイナスのものより、プラスの電気が下がる方が多いわけです。これは、いったいどうしてでしょうか。雲の中の電気の分布が普通の場合の逆になっているのでしょうか。どうも、そうではないようです。

 

図に電気を測る気球をつかって、プラスとマイナスの電気の分布を観測した例をのせましたが、ほぼ上にプラス、下にマイナスになっています。ただ、気球が横へ流されていったように、雲の形も横方向へなびいています。これは上空のシベリアから速い季節風によって流されるからです。当然、上方にあるプラスの電気をおびた物質(イオン)も横へ流され、地上に近づくことになります。この地上に近づいたプラス電気によっておこるのが、プラスの「かみなり」ではないかと考えられています。

しかし、まだ確かなことは、わかっていません。「かみなり」のことは、このことにかぎらずわからないことが多いのです。発生の基本である、雲の中での電気の発生についても、さまざまな説があるくらいですから。■

文:石坂
発行:昭和56年11月1日


富山市科学文化センター
作成 竹中 2001.12.27.
最終更新 市川 2001.12.27.
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