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今月の話題:No.45

雪えくぼ

みなさんは、雪がつもった田んぼや駐車場などで、雪面のところどころが、ボツボツとくぼんでいるのを見たことはありませんか。これには、「雪のえくぼ」という愛らしい名前がつけられています。雪面のくぼんだのが、えくぼに似ているところから、この名前がつけられたのでしょう。

 

「雪えくぼ」が見られるのは、新雪がつもった後、晴れて日ざしが強くなる時です。また、新雪がたくさんつもれば大きな「雪えくぼ」になるようです。たとえば、今年の1月9日に富山市の積雪調査をしていた時、あちこちの田んぼに「雪えくぼ」ができているのを見ました。そのときは、1月8日までに20cmの新雪がつもっていましたが、この日の天気は晴れで、たくさんの雪が溶けました。おそらく「雪えくぼ」は8日にできたものと思われます。

 

ところで、「雪えくぼ」は、どのようにしてできるのでしょうか。新雪がつもり日ざしが強くなると、ふわふわの状態の新雪はとけて急激に体積がへります。その時、とけた雪水が少しくぼんだところにどんどん集まり流れおちるので、くぼんだところはますますくぼんでいくのでしょう。実際に、断面を切ってインクで染めてみると、くぼんだところがよくぬれているのがわかりました。「雪えくぼ」,冬になると私たちが必ずお目にかかる雪の一つの姿です。今年も雪のたよりが聞かれる頃になりました。雪はこのほかにもいろいろな自然の造形を見せてくれます。一度観察してみましょう。■

文:黒田
発行:昭和56年12月


富山市科学文化センター
作成 竹中 2001.12.27.
最終更新 市川 2001.12.27.
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