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今月の話題:No.52

南の星座

 「白鳥座」、「わし座」、「こと座」という名は、みなさんもよく知っておられるでしょう。では、「ふうちょう座」とか「きょしちょう座」はどうでしょうか。ご存知ない人が多いかもしれません。

 これらは南半球の星座で日本から見えないため、なじみがありません。1492年、コロンブスがアメリカ大陸を発見して以来、船乗りたちは南半球へも行くようになりました。そうなると航海で、自分の位置を知るためにはやはり星座があると便利なので、南の国の動物などを星座の名前にしました。「きょしちょう」は本当の名前は中南米の熱帯地方にすむ、オオハシというキツツキの仲間です。くちばしがとっても大きいので巨嘴鳥(きょしちょう)といわれています。また、「ふうちょう」は、ニューギニアにすむ鳥で、姿が美しいので極楽鳥(ごくらくちょう)ともいわれています。昔は、この鳥の足をとってしまって空中でくらす鳥として売られていたところから、風鳥と呼ばれています。ほかに、カメレオン座やクジャク座などもあります。

 また、「ぼうえんきょう座」、「コンパス座」、「けんびきょう座」など、科学や近代文明に大きな役割を果たした器械も星座になっています。さて、南の星座の中で一番よく知られているのは「みなみじゅうじ座」。南十字星のことですね。この星の名前を聞くと何かロマンチックな感じで私たちに南の国を連想させてくれます。この南十字星は、天の南極をさがすのに便利です。十字架の長い方を5倍ほど伸ばしたところが天の南極の位置です。天の南極といっても、天の北極の北極星のように、南極星と呼ばれる明るい星はありません。この南十字星、こじんまししているので、近くにある「にせ十字」とみまちがうことがあるかもしれません。南の国へ行かれた時は注意して見て下さい。

文:吉村
発行:昭和57年7月10日


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