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今月の話題:No.277

ワラジムシ

 桜の花ももうすぐ咲く四月のはじめ、まだ寒い日も多く、虫たちもあまり出ていません。ところが、植木鉢の下や花壇にはワラジムシが盛んに動き回っています。ワラジムシは湿った場所にいる嫌われ者ですが、良く似たダンゴムシは丸くなってかわいいためか人気があります。両者は体の作りもほとんど同じ近い仲間ですが、丸くなるものがダンゴムシ、ならないものがワラジムシと呼ばれています。ここではまとめてワラジムシの仲間と考えます。

何の仲間?

ワラジムシ ところで、 ワラジムシは何の仲間でしょうか。昆虫でも、クモでも、ムカデでもありません。じつはエビやカニと同じ甲殻類なのです。エビは触角が2対ありますが、ワラジムシは1対しかないように見えます。でも、虫眼鏡で触角(じつは第2触角)の根元を見ると小さな第1触角が見えます。また、胸の足は7対あり、エビ・カニはハサミを含め5対のよう見えますが、本当は両方とも8対なのです。ワラジムシでは8対のうち最初の1対が口に変化し、残りの7対が歩く足になり、エビ・カニでは最初の3対が口になり、残りの5対が歩く足になっています。また、エビの腹にある板のような泳ぐ足はワラジムシではその一部が呼吸用に変化しています。

ワラジムシとカニの体と足の関係

2つのワラジムシの仲間

富山県で見られるワラジムシには、大きく分けて二つの仲間があります。一つは1センチになる庭などにいる仲間、もう一つは森や草むらに住んでいるせいぜい6ミリ程度の小さな仲間です。街中など人がすんでいる地域で見られるのは大型の仲間で、これは明治以降ヨーロッパから入ってきたと考えられます。すなわち、江戸時代は鎖国のため、外国から入ってくるものがなかったのですが、明治になって、急にヨーロッパやアメリカとの貿易が盛んになったため、植物などといっしょに日本に入ってきたのではないかと思われます。なお、昔からいた種類は自然の森などにだけ残ったのではないかと考えられます。まわりの様子によって種類が異なり、しかも、移動する力が弱いので、 自然の様子を判断する目安に利用できると考えられています。■

〔外国からはいったワラジムシ〕
ホソワラジムシ
ホソワラジムシ
クマワラジムシ(県内未発見)
クマワラジムシ(県内未発見)
〔昔から日本にいたワラジムシ〕
フイリワラジムシ
フイリワラジムシ
ホクリクサトワラジムシ
ホクリクサトワラジムシ

文:布村 昇
発行:平成13年4月


富山市科学文化センター
作成 市川 2002-02-11
最終更新 市川 2002-02-16
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